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ヤワな日本人には太刀打ちできない
一触即発の食糧危機
written in 2009/4/2

 憧れの海外に行ったところ激しい下痢に見舞われて、せっかくの旅行が楽しめなかったという経験のある人は少なくないだろう。特に東南アジアやアフリカ方面への旅行では、現地の食べ物をむやみに口にすることには要注意だ。たった一口の水やサラダを口にしただけ、食あたりにやられてしまうことがある。

しかしそんな国でも、現地の人達はどうして健康でいられるのだろうか。一つには、衛生状態にカラダ(胃腸)が慣れて免疫力が強いためと言われているが、本当のところは「食べて大丈夫なもの」と「食べてはいけないもの」を普段の生活で見分ける力に長けていることのほうが大きいようである。

トイレも十分に整備されていないような国では、野菜を生で食べるようなことは考えられないし、そもそも「外食をする」という習慣がないため、誰が調理したのかわからない食事を口にすることは滅多にない。貧しいゆえに質素な食事ではあるが、食の安全には彼らなりの知恵で細心の注意を払っている。コレラやチフスなどの伝染病がある地域では、それが命取りになるためだ。自分の家族に必要な食材は、信頼できるところからしか調達しないのが基本であり、それが最も大切な日々の仕事なのだ。

それと比べると、日本人は“食”に対してグルメな能書きはたくさん知っていても、危険な食材を見分けたり、他人に食料を奪われないように確保するといった、人間の本能は退化していて、スーパーでお金を払えば、いつでも新鮮な食材が手に入ると思い込んでいる。それでも農薬混入事件などで、原産地や農薬散布の有無だけは気する消費者が増えているが、ラベルの表記を信用して購入するしかない。それ以上に安全確認をする方法を我々は知らないし、細かくチェックしはじめたら、自給自足ができない都会では生活をしていくことができない。

しかし、豊富な食材がところ狭しと並んでいるスーパーマーケットも、昨年の金融業界に起こった混乱と同じようなこと(食糧危機)が起これば、アッという間に在庫は品切れとなり、消費者の生活は大混乱するだろう。株式市場が暴落しても、直接的な打撃を受けるのは銀行や投資家だけで、一般庶民の生活にまですぐに影響が出ることはないが、食糧危機はその日の夕食から困ることになるため“お金”以上に深刻な問題になる。

平和な日本に暮していればピンと来ないかもしれないが、世界的にみた食糧価格の上昇は確実に進んでいる。特にアジア諸国が主食にしている「米」の国際相場は昨年2倍以上に暴騰するという事態が起こった。これはタイ、ベトナム、インドといった米輸出国が自国の食糧危機に備えて、“他国へ売る米”の量を制限しはじめたことが背景にある。世界で最も人口が多いアジアの主食である「米」の奪い合いは一触即発の状態だ。

国際社会の中で“国力”というと、経済力や軍事力を指していたのがこれまでだが、「食糧を他国に売らない」ことが、新たな外交カードとして効きはじめているのだ。ましてや「無農薬で安全な食品でなければ食べたくない」という日本人にとっては、いよいよ自分の食い扶持を“お金”ではなくて“食糧”として確保しておかない時期に差し掛かっているようだ。そのためには具体的などんな方法が考えられるのか?そこに新たな農業ビジネスを生み出せるヒントが隠れている。(2009.4.2号)
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この記事の核となる項目
 ●ヤワな日本人には太刀打ちできない一触即発の食糧危機
 ●世界人口の推移からみた食糧不足の状況
 ●世界で起こる食糧確保のための貧困国買収
 ●金銭に代わる食糧の価値と外交カードとしての食糧支援
 ●仮想水(バーチャルウォーターとして取引される農作物の価値
 ●戦後の学校給食で骨抜きにされた日本の歴史
 ●日本で食糧危機が起こるシナリオとは
 ●日本の農業はなぜ儲からないのか?
 ●副業として取り組む自給農業への着目
 ●消費者参加型で行なう自給農業の仕組み
 ●江戸時代の石高制度に学ぶ、市民農園を収益化する発想
 ●世界で拡大するベジタリアン市場と崩壊する日本の食文化
 ●水危機の到来に向けた「水を売るビジネス」の布石と死角
 ●農業起業を成功させる視点と知的財産化する農作物の権利争い
 ●消費者の購買力をバックに力を増す共同購入グループの復権


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JNEWS LETTER 2009.4.2
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