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アップルが開拓した
ガジェット端末の有力市場と収益モデル
written in 2009/2/9

 親しい友人や恋人との連絡方法といえば、昔は自宅の固定電話だったが今なら携帯電話だろう。ところが実際には、携帯から電話を頻繁にしているわけではなく、メールによるやり取りが大半を占めている。ビジネスにおける取引先との連絡でも携帯メールを使うほうが好都合というケースが近頃では多い。その裏付けとして統計をみても、電話(音声通話)の利用は携帯からの発信を含めても減少していることがわかる。

《電話(音声通話)の総発着回数》
    (百万回)
    (発信)→(着信)平成14年平成16年平成18年
    固定電話→固定電話72,98464,09157,129
    固定電話→携帯電話9,7388,9838,296
    携帯電話→携帯電話33,95237,58139,822
    携帯電話→固定電話15,71715,82314,673
    合計132,391126,479119,919


《携帯による音声通話の利用状況》
     平成14年平成16年平成18年
    携帯電話の普及台数7565万台8699万台9671万台
    一日の発信回数/台1.8回1.7回0.4回
    一日の通話時間/台217.8秒195.7秒190.1秒
    ※出所:(社)電気通信事業者協会


こうしてみると、携帯(ケータイ)は既に電話ではなく、情報端末としての用途のほうが高くなっていることがわかる。NTTドコモの収益状況では、携帯事業の中で音声通話料が占める割合は約6割で、パケット収入(データ通信料)が4割という内訳だが、今後さらに電話の利用頻度が減り、通話料の単価も下がっていくとすれば、携帯電話のビジネスモデルを再考する時期が迫っている。

一方、海外ではアップルが「iPhone」を発売して携帯事業に参入したことに加えて、グーグルも「Android(アンドロイド)」という携帯用のプラットフォームを公開してきている。しかし彼らの目的が電話による通話料で稼ごうとしているわけでないのは明白だ。米国では携帯用の情報機器を「ガジェット(おもしろい道具)」と呼び、音楽プレイヤー、ゲーム端末、デジタルカメラなどの用途に加えて電話機能も付属しているという発想。その点ではニンテンドーDSと携帯電話が融合しても驚くべきことではないし、既にIP電話としてDSを利用することも可能になっている。

それが意味するところ、これからのケータイは、ビジネスマン、大学生、主婦など利用する人のタイプや用途に応じて、必要な機能を自由に選べるようになり、本当の意味での“ガジェット”になるだろう。その時に携帯会社はどこを主力の収益源とすればよいのか、そして他のIT企業が新たな携帯ビジネスに参入するポイントはどこにあるのかを、アップルとグーグルが展開する携帯ビジネスを掘り下げながら考えていくことにしよう。
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この記事の核となる項目
 ●アップルの収益構造からみたガジェット端末の魅力
 ●パソコンメーカーから脱したアップルのビジネスモデル
 ●ケータイが「電話」から「情報端末」へ生まれ変わる転換点
 ●携帯端末の優劣を決める基本ソフトの攻防
 ●グーグルが仕掛ける携帯ビジネスの戦い方
 ●携帯アプリを軸にした携帯ビジネスの方向性
 ●携帯アプリからのeコマースの集客ルート
 ●消費者の行動を変えるグーグル携帯の衝撃
 ●世界のどこからでもタクシーが呼べる携帯アプリ
 ●外出先の買い物で損をしないための携帯アプリ
 ●災害時に人命救助をする携帯アプリ
 ●携帯カメラからの画像(写真)検索がリアルビジネスに与える衝撃
 ●ショッピングエージェント機能が実現させるユビキタスコマース


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JNEWS LETTER 2009.2.9
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