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電気自動車(EV)が示唆する
新たなモータリゼーションの波
written in 2009/1/26

 古い知人と久しぶりに食事の約束をしたところ、待ち合わせ時刻の直前になって、クルマのバッテリーが上がってしまったので立ち往生して到着できないという連絡が入った。今どき“バッテリー上がり”というのも珍しいが、彼の愛車は最新のハイブリッドカーで、従来のガソリン車よりもバッテリーのメンテナンスが難しいのだという。エコという観点から、わざわざ割高なハイブリッドカーを購入してはみたものの、技術的にはまだ発展途上の段階で信頼性には欠けると嘆いていた。

メーカーもその辺りのことは承知していて、トラブル時は無償修理で対応する代わりに、開発の現場へ情報をフィードバックしてハイブリッドシステムの改良に役立てているようである。ただし現行のハイブリッドカーが十年以上経過した旧式車になった時までも無償サポートが続くという確約はない。バッテリーの寿命が尽きてしまい、旧型の交換用バッテリーも生産打ち切りということになれば廃車にするしかないというのが、ガソリン車よりも不安な点だろう。

しかし時代の流れからすると、ガソリン車がハイブリッド車、そして電気自動車へと世代交代していくことは間違いなさそうで、その時には電気エネルギーを蓄積しておくバッテリーの性能や寿命がとても重要なものになる。また長距離ドライブの途中でバッテリーを充電するための、ガソリンスタンドならぬ電気スタンド(充電施設)を全国に整備することも、これからの課題であり一大事業といえる。

バッテリーについての悩みや不満は、もっと身近なところでも我々は感じているはずだ。携帯電話を寝る前に充電するのを忘れたまま、翌朝になって外出してしまい、途中でバッテリーが切れそうになって困った経験は誰にでもあるだろう。そうでなくても、最近の携帯にはワンセグや音楽プレイヤーなど便利な機能がたくさん付いており、それをフルに使っているとバッテリーが一日もたない。充電を繰り返していればバッテリーの消耗は次第に早くなってくる。そこでバッテリーを新品に交換したいが、自分が使っている携帯の機種にあうバッテリーを探すのは意外と面倒なものだ。

その意味では、携行に便利なノートパソコンも、本体の性能よりバッテリーに依存した製品といえる。ノートパソコンの性能は最近の十年で飛躍的に向上したが、バッテリーの消耗時間だけは昔とそれほど変わらず、長くても2時間足らずといったところだろう。もちろんバッテリーの性能も向上しているが、パソコン本体の消費電力が増えたことで、逆にバッテリーにかかる負担は重くなっている。そこで本体はそのまま使い、劣化したバッテリーだけを買い換えようと購入店に問い合わせると、2万円以上もするという。バッテリー1本で2万円はあまりに高くはないか?それならいっそのこと、新しいパソコンに丸ごと買い換えてしまったほうが得ではないか?という囁きがどこからか聞こえてくる。

それでもバッテリー交換ができる製品はまだマシな方で、アップル社のiPhoneやiPodのようにバッテリーが本体に直付けされていると、本体の機能は故障していなくても、バッテリーが劣化すれば使えなくなってしまう。つまりバッテリーの寿命が製品の買い換えサイクルと重なるわけだが、それがメーカーの意図的な戦略であるとすれば、巧みなバッテリービジネスが展開されていることになる。

エコに配慮した今後のクリーンエネルギーとして「電気」は欠かすことができないが、これからのバッテリー市場は自動車関連だけで20兆円を超えるとみられている。欧米ではそこを狙って、様々なベンチャー企業も登場してきているがその動向を探っていくと、ガソリン時代とは異なる新たなモータリゼーションの波がみえてくる。
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この記事の核となる項目
 ●電気自動車に乗るという新たなステイタス
 ●身近な乗り物になりはじめた低速電気自動車という新カテゴリー
 ●ベンチャー企業が参入できる電気自動車市場の方向性
 ●ベンチャーが担当する気自動車市場の開発イメージ
 ●電気自動車の走行距離を伸ばすベンチャービジネス
 ●プラグイン・ハイブリッドカーの改造ビジネス
 ●拡大する電気自動車のアフターパーツ市場
 ●バッテリーを基軸に考える自動車業界の新たなビジネスモデル
 ●バッテリー充電からみた電気自動車の収益モデル
 ●電気自動車を身近にするバッテリーの規格化と互換ビジネス
 ●電気自動車に純正外バッテリーを売るビジネス
 ●脱マイカー社会で変わる消費者の購買行動と商圏法則
 ●自転車が安くなった理由と工場を持たないメーカーの起業
 ●マンション市場から参入するカーシェアリング事業の採算性


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