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イスラム商法に学ぶ
営利ビジネスの健全化と懺悔の方法
written in 2008/12/22

 毎年の年末に行なわれる恒例行事といえば「赤い羽根募金」がある。街頭、町内会、学校や職場で募金に協力すると赤い羽根を貰えるのは見慣れた光景だが、この活動は1947年(昭和22年)からスタートして60年の歴史がある。実際にどれだけの募金が集まっているのかというと、平成19年度の総額では 151億円が寄せられている。このお金は各地の児童福祉施設や老人ホームなどに分配されて、必要な物資の購入などに充てられている。一人あたりの平均募金額は 160円と少額だが、多くの人の善意が集まれば大きな力になるものだ。

ところが日本で“善意の力”が年々高まっているのかといえば、そういうわけではない。赤い羽根の募金額は平成7年(1995年)の 179億円をピークにジリジリと下がりはじめてきている。また、日本テレビが毎年の夏に行なっているチャリティ番組の「24時間テレビ」は今年で31年目を迎えたが、最も多額の寄付金が集まったのは31年前の初年度で12億円。それ以降は年間6億円〜10億円の水準で行き来している。この変動は各年の司会を担当するタレントの人気が影響しているようだが、いずれも初年度の実績を上回ってはいない。

それではもっと身近なところにあるコンビニの募金箱ではどうか。セブンイレブンの店頭(レジ前)に置いてある募金箱には年間で3億5千万円の寄付があるがこれは全国1万2千店舗を合わせた金額で、1店舗あたりでみると2万9千円に過ぎない。コンビニ店舗の平均来店客数が年間で約3万人であることからすると、釣り銭を受け取るのが面倒な人が希に1円玉を募金する程度であることがわかる。

日本で個人的に寄付をするといえば、1円から多くても数百円という金銭感覚が一般的で、家計調査によると1世帯あたりが1年間に寄付をする合計額はおよそ2200円。一方、米国では1世帯あたり16万円/年もの寄付をしている。どうしてそんなに違いがあるのかを説明するのに「米国は寄付の控除制度があるから」という理由を挙げる専門家もいるが、控除を受ける必要がない低所得層でも平均で1000ドル(約10万円)前後の寄付をしている。

ではどこに理由があるのか。おそらくそれは宗教と関係している。米国民の8割が信仰するキリスト教では、自分の年収から生活に必要な資金を差し引いた残額の1割程度を寄付することを説いている。ビジネスでは合理的に利益を追求する一方で、寄付や奉仕の文化が根付いているのが日本とは異なる特徴で、企業にとっても重要なキーワード“社会貢献”もここから派生している。

世の中に流通しているお金に色が付いているわけではないが、もしも分類すれば「営利のお金」と「善意のお金」という2種類に色分けすることができる。経営者が普段のビジネスで追いかけているのは、営利のお金のほうだが、世界的にみると善意のお金が膨らみ始めている。欧米では善意の資金を集めるための寄付市場が明確に存在しており、米国だけでも20兆円の市場規模があると言われている。

もちろんその資金は、社会貢献事業に使われるのだが、その一部は新たな寄付を集めるためのマーケティングや、集めた寄付資金を増やすための投資へと回されて増幅しているのだ。 それが「営利のお金」から「善意のお金」へのシフトを促して、従来のビジネスを浄化する動きを生み出している。これはイスラム諸国のオイルマネーにも共通していて、彼らが信仰するイスラム教では「営利のお金」に様々なルールを設けている。
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この記事の核となる項目
 ●宗教観に基づいたビジネスの正当化とイスラム商法
 ●利子を使わないマイカー融資の方法
 ●利子を禁止したイスラム商法の特徴
 ●ソーシャル金融の誤解と膨張する社会貢献マネーの裏側
 ●P2P金融は新たなソーシャルサービスになれるか?
 ●P2P型ソーシャル金融サービスの仕組み
 ●増やしてから支援する寄付基金のビジネスモデル
 ●減らさずに増やす寄付基金の仕組み
 ●教育寄付金による資金の循環モデル
 ●ピンクリボン活動にみる“善意”の連鎖マーケティング
 ●宣伝広告から社会貢献マーケティングへのシフト
 ●ピンクリボン活動による社会貢献マーケティング
 ●社会貢献市場を拡大させる財テクノウハウ
 ●1千兆円の遺産マネーを争奪する相続対策ビジネスの行方
 ●友達同士の割り勘サービスから始まるソーシャル金融の波


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