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1円書籍の採算からみた
eコマースの新ビジネスモデル
written in 2008/9/13

 日本にネット通販が普及して10年以上の歳月が過ぎた。その間に消費者の買い物はかなり便利になって、最寄りの店では置いてない商品でも、ネット検索をして注文をすると、早ければ翌日には商品が到着する。その便利さに慣れてしまうと通販無しの生活には戻れなくなってしまうほどだ。経済産業省の調査によれば、2007年の国内eコマース業界(消費者向け)の市場規模は5兆3千億円で、前年よりも21%増という成長を示している。おそらくあと数年の間には、下降している全国百貨店の売上規模(7兆7千億円)をネット通販が追い抜くことになるだろう。

その反面、最新技術への対応やサービスの向上によって疲弊しているのがネット通販業者の立場である。例えるなら、十数年前のネットショップは木造平屋建てアパートのようなシンプルなものであったのが、いまでは高層マンションのように複雑で管理が難しいものへと変化している。その流れに振り落とされることなく付いていこうとすれば、いくら資金と人手があっても足りず、各ショップでは自店の方向性を決めていくことが難しい。楽天市場への出店者にしても、売上は伸びても、手数料や広告宣伝費の負担が重い分だけ、増収減益型の薄利ビジネスになってしまうという声が大きい。それでも出店を続けるか撤退(閉店)するかの判断は、商材の特徴やビジネスモデルによっても違ってくるところである。

その“ビジネスモデル”というのは、eコマース事業を単純な小売業として考えるのではなく、メーカー、卸、小売、それに物流や金融(代金決済)までを含めたeコマース取引全体の中で、どこを収益源にするのかという話と関係している。極端な例として、商品自体の儲けはゼロでも、1注文あたり5百円の発送手数料を収入として得ることができれば、1日に300件の受注で15万円、年間では5千万円以上の収入になる。ただし、その発送作業を自分の手でやっていたのでは間に合わないから、業者に委託したうえで「1注文あたりの利益」が確実に得られるような仕組みを考えなくてはいけない。

今後のeコマース事業を考える上でイメージしておきたいのは、在庫の管理、サイト上での商品の受注、代金決済、発送業務、顧客対応までをすべて外部の業者に委託してしまうことだ。それではあまりに手抜きの商売になってしまわないかという意見も聞こえてきそうだが、そういうことでもない。消費者は通販サイトの実務的な作業については、安全で迅速、ミスが無いことを望んでおり、そこは専門の業者に委託してしまったほうが事故は少なくコストの管理もしやすい。その上でショップ独自の個性や魅力をどこに表現するのかが勝負といえる。

一方、自らの商品は持たずに、他社からの委託によって複数のeコマースサイトを運営代行する施設のことを欧米では「eセンター」と呼び始めている。eセンターは商品の在庫管理から発送作業の他に、Webサイトの管理、顧客からのメール返信、電話によるサポートなどにも対応する新しいタイプの“ネット通販基地”といえるものだ。ネット通販の方法は大きく様変わりしようとしていて、第二のビジネスモデルへと切り替わる時期に差し掛かっているようだ。

その象徴的なモデルとして数年前から登場しているのが、アマゾンで販売されている「1円書籍」の存在である。アマゾンで購入したい本を検索すると、同じ書籍タイトルに「新品」と「中古本」が並んで表示されるが、中古本のほうは“1円”で販売されているものを多く見かけるようになっている。しかも実際に購入してみると、かなり程度の良い古本で、これならわざわざ新品を購入する必要はないと思ってしまうほどだ。そのカラクリが新たなeコマースの方向性を示唆している。
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この記事の核となる項目
 ●1円書籍の採算からみた利益確定型ビジネスモデル
 ●ネット通販事業の完全委託を実現させたeセンターの台頭
 ●ネット通販事業の経費を固定化する発想と仕組み
 ●アマゾンにネット通販業務を完全委託するのにかかるコスト
 ●完全委託によるネット通販事業の流れ
 ●eセンター化するネット通販の受託ビジネス
 ●eセンターへの委託で可能になるeコマース事業への参入
 ●eコマース業界で不足する人材育成に向けた商機と将来像
 ●eコマースを支えるフロントとバックヤードの人材需要
 ●ネット通販に関連した職種の求人倍率
 ●すべての実店舗がeコマース業者になる将来像
 ●アマゾンはなぜ買収されないのか?Eコマース業界の光と影
 ●eコマース事業の薄利体質を改善する電子商材の開拓商機


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JNEWS LETTER 2008.9.13
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