婚活者の中で、結構情報サービスや結婚相談所を利用する婚活者の割合は全体の1割未満。それらの人達はサービスの利用を公言しないため、水面下で婚活支援の市場は拡大している(新ビジネス事例JNEWSについてトップページ
未婚者市場に向けた婚活ビジネスの業界構造と参入視点

JNEWS
JNEWS会員配信日 2008/6/27
記事加筆 2021/9/3

 未婚女性から結婚相手として最も人気が高い職業は「医師」というが、その相手を探す手段として結婚紹介所や結婚情報サービスに会員登録するケースは多い。。結婚相手を探すための活動が「婚活」と言われ始めたのは2007年頃からのことで、そのためのツールとしてインターネットや携帯電話は欠かせないものになりつつある。


何万人という会員が登録している結婚情報サービスのデータベースにアクセスして、自分が望む相手の条件を入力すれば、候補者のリストを一覧することができる。そこから交際やお見合いの申込みができる。そこから先、相手からのOKをもらえるか否かは、自分のプロフィールにもよるが、その時に最も重視されるのは、男女共に相手の容姿(写真)で、次に男性側には職業や年収などの条件が加わる。

欧米や中国ではオンライン結婚情報サービスが爆発的に普及していて、特に高学歴や高年収の人ほど利用率が高いという傾向がある。相手に求める理想が高くなるほど、できるだけ豊富な情報(候補者リスト)が必要になるということらしい。
つまりその“高い要望”に応えられることが、結婚情報会社の腕の見せ所となる。

日本でも結婚情報会社を利用する人達が徐々に増えていて、近い将来、独身者の大半がパートナー探しを目的とした何らかの情報サービスを利用するようになれば、その市場規模は20代~30代だけで1千万人以上になる。さらにその上の年齢層でも、再婚希望を含めた独身者の多くが“理想の相手”を常に探し求めている。
結婚の経験がない未婚者の他に、死別や離別も含めると、約4割の人達が独身で過ごしている。

《年齢別未婚率の推移》

その一方で、結婚生活でトラブルを抱えて離婚を考える人達が増えているのも近年の特徴。平成19年には結婚したカップルが約72万組であるのに対して、離婚したのは約25万組で、特に20年以上も生活を共にした後に別れる熟年離婚の割合が増えている。日本では、いざ離婚への行動を起こそうとした時に、当事者同士が話し合いをして結論を出す「協議離婚」の形が9割以上を占めているが、そこに至るまでには、双方の身内までが相当な精神的ダメージを受けなくてはいけないのが実情だろう。その交渉や具体的な手続きについては、もっと冷静で客観的に進められる民間サービスが成り立つ余地がある。

「結婚」と「離婚」は、普通に考えると正反対の市場のように思えるかもしれないが、“夫婦関係のサポートをする”という目的からすると、じつは同じ人や業者が担当したほうが望ましい。少し前まではそれが“仲人(なこうど)”の役割で、結納や結婚式の立ち会いばかりでなく、夫婦喧嘩や別れ話の仲裁役を兼ねていた。しかし最近では、仲人を立てて結婚式を挙げるカップルは全体の1割未満(2008年時点)といわれている。その1割にしても、会社の上司などに依頼した儀礼的な仲人に過ぎず、込み入った夫婦の悩み事を相談できる相手とは言えない。

このような背景からすると「夫婦」という関係について、出会いから別れまでを仲介、サポートするようなサービスがあってもよいはずだ。それがどのような事業プランで実現できるのかを考えてみることにしよう。そこを掘り下げていくと、夫婦の関係を円満するための対策は「婚姻届を出す前」に急所があることがみえてくる。

【結婚情報サービスの仕組みと満足度】

 昔なら、どの街にも世話好きな“お見合いおばさん”がいて、男女の縁を取り持ってくれたものだが、近所付き合いが希薄になった現代では、そんな人達が少なくなり、職場や友達の紹介(合コンなど)などでの出会いが期待できなければ、なかなか理想の相手を見つけることは難しい。そこで結婚情報サービスの出番となるわけだが、現状では、これらのサービスを利用して相手探しの活動をしているのは、適齢期の独身者数に対して3%前後とみられている。(出会い系サイト、出会い系アプリなどは含まず)

孤独社会で躍進する出会い系マッチングアプリの業界構造

意外と利用率が低い理由としては、結婚紹介業者への入会に対して抵抗感があることと、料金体系が高いことなどが挙げられるが、欧米の動向からみても、この市場は伸びていくとみて間違いない。少子化・晩婚の時代には結婚相手に求める条件がさらに厳しくなっていくためだ。

国内にある結婚情報サービス会社の状況をみてみると、大手業者の場合で男女を合わせて3~5万人の会員が登録している。会員の男性と女性をマッチングする方法は、入会時にモニタリングした「希望する相手の条件」に該当する候補者(月に2~5名)のプロフィールが記載されたパートナー紹介書が郵送される。その中から気になる相手がいれば、先方に面談(お見合い)の申込みをして、相手がOKをすれば面談の日時と場所がコーディネーターによってセッティングされるという流れが一般的。

その他にも、複数の会員と同時に会うことができるパーティやイベントなども開催されているが、活動の中心となっているのは、会員データベースからの検索による候補者の紹介とお見合いの仲介である。これが、安価な“出会い系サービス”と何が違うのかというと、入会時の身元確認からお見合いまでのコーディネートが丁寧で安全に行われているという点で、「真面目に結婚相手を探したい人」だけが利用できるシステムということだろう。入会時に必要な書類にしても、戸籍謄本の提出、学歴の証明書、年収の証明書(源泉徴収書や確定申告書)などの提出が条件になっている。

《結婚情報サービスのよるお見合い仲介の流れ》

結婚情報サービスの料金体系は、月に何人の候補者を紹介するのかによって複数のコースが用意されていることが多いが、月に4~8名の紹介で年間20万円~30万円というのが相場になっている。ただしこの“紹介人数”というのは、候補者のプロフィールが送られてくる人数のことで、実際にお見合いができる相手の数ではない。紹介された候補者への申込みで、相手がお見合いを了承してくれる成功確率は人によって大きく違っていて、プロフィールや写真の印象が良い女性会員には、選びきれないほど申込みが殺到する一方で、1年間で一度もお見合いが成功しない男性会員というのも少なくない。そのため年間で20万円以上を払うサービスとしては、必ずしも会員(顧客)の満足度が高いというわけではない。

【結婚情報サービスの原価コストとは何か?】

 それでは結婚情報サービスの会費設定はどうして高いのだろうか。モノを売る小売業とは違い、情報提供が中心のビジネスのためにもっと安くできそうにも思うが、そこには特別な業界事情が存在している。

結婚相手を探すための活動は、他のサービスよりもプライバシー性が高いために人づてによる紹介などが期待しにくい。そのため集客はテレビ、雑誌、インターネット広告などによる宣伝が中心になる。しかも会員の活動期間は平均1年未満のために、次々と新会員を獲得していく必要があるのだ。大手業者の一つ、ツヴァイの場合には年間の売上高が45億円であるのに対して、約10億円の広告宣伝費(媒体料)を投じている。その他にはカウンセリングやお見合いのコーディネートにかかる人件費、情報システムにかかる費用などもサービス原価といえるが、その中でも最も大きな割合を占めているのが媒体料なのだ。

《結婚情報会社の採算構造(事例:ツヴァイ)》

売上高に対して営業利益率が13%というのは、他の業界からみれば非常に魅力的な数字だが、やり方次第ではもっと経費を抑えて、料金設定の水準を下げて会員数を増やせる余地がある。経費の内訳として負担が大きいのは、広告宣伝費の他に、会員のカウンセリングを行うための支社(店舗)の設置費用やパンフレット類があるが、これは結婚サービスとして高級な雰囲気作りをするほど割高になる。
しかし“お見合い仲介業”という原点に戻れば、これは大手よりも個人事業として手掛けるほうが適しているビジネスといえるものだ。

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・夫婦関係にも契約書が必要な時代の到来
・夫婦が所有する財産の種類と権利について
・なぜ結婚前の契約が必要なのか?夫婦間における決め事の盲点
・夫婦問題の専門家になるという視点

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