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  銀行以外でお金を借りられる場所といえば消費者金融くらいしか思い浮かばないが、もっと身近な仲間同士でお金を融通し合おうという動きが欧米で巻き起こっている。これはソーシャル金融と呼ばれるもので、新たな金融サービスの市場を生み出す可能性が注目されている。
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友達同士の割り勘サービスから始まる
ソーシャル金融の波
written in 2007/6/1

 株式市況があまりパッとしない中でも稼げるネットトレードとして外貨取引が個人投資家の間で人気だ。正しくは「外国為替証拠金取引(FX)」というもので、普通の外貨預金と比べると十分の一以上も手数料が安く、5万〜10万円の少ない投資金額からでも始められるのが人気の理由。先頃には主婦がFXで儲けた4億円を申告しなかったと摘発された事件が報じられたが、いまやオンライントレードで素人がプロ顔負けの大金を稼げる時代である。もちろん、それとは裏腹に個人投資家が損をする金額も大きくなっているのではあるが。

「お金のやり取り(金融取引)」は通販会社のように“物”の流通が伴わないためにネット上での電子取引が非常にしやすいことは十年前から予測されていた。株や外貨の売買取引、オンラインバンクでの振込み手数料が飛躍的に安くなったのもそのためだ。近い将来には、お金をネットで流通させることについて、もっと色々なサービスが登場してきてもおかしくはない。その中でも「お金を借りる方法」については、意外にも未開拓の分野だ。

もし自分が中小企業の経営者として、新規事業のためにまとまった資金が必要な場合には、地元の銀行や信用金庫へ出かけて融資の申し込みをするのが一般的だろう。しかし、それとは別に出資者をネットで募るという方法が登場している。『こんな新規事業を考えているが一口乗らないか?儲かった利益の中から配当金を出すよ』とネットで呼びかけると出資希望者がたくさん集まることがある。たとえば「ワインファンド」というのはその好例で、ワインの輸入業者が一口10万円〜の少額で出資者を募る形で資金を広く集め、買い付けたワインが数年先に値上がりするまで寝かせておき、売却益が出た段階で配当を分配するという仕組み(2006/10/15号)が、趣味と実益を兼ねた投資モデルとして人気を集めている。ワイン好きの人であれば、普通に銀行へお金を預けておくよりも夢が抱ける“お金の働かせ方”というわけだ。

お金の貸し借りといえば、そこにはリスクが伴うためにシビアな取引にならざるを得ないのは仕方ないものの、ただ金利の条件だけでお金を融通してもらうのではなくて、自分が手掛けている事業や活動に賛同してくれる人達から、小口でも好意的な出資者を集めた方が望ましいはずだ。

個人の場合でも、正当な使い道でお金を借りる必要があるのなら、その用途を説明して信頼できる仲間や知人から妥当な利子で借りるのが理想だろう。お金を貸す側としては、どうせ余裕資金を銀行に眠らせておくのなら、その人を応援する目的も兼ねながら利息収入を得ることができれば嬉しい。このような新しい貸し借りの仕組みは「ソーシャル金融」というコンセプトとして注目されている。将来的には企業の事業資金もソーシャル金融で調達されるようになることが期待されるが、いまの段階ではもっと身近な段階として、友人同士の飲み代の割り勘からソーシャル金融の波が訪れている。
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この記事の核となる項目
 ●携帯電話で飲み代の割り勘をするサービス
 ●ネットで出資者を集める新たなソーシャル金融業者
 ●オンライン割り勘サービスからソーシャル金融へ
 ●ソーシャル金融による新たな大学生ローンの仕組み
 ●社会貢献と実益を兼ねた“お金の働かせ方”を求める人達
 ●ネットコミュニティで仲間を募って資金集めをする方法
 ●お金でなくモノで資金を調達する方法〜自動車寄付仲介ビジネス
 ●手軽に発展途上国でのエンジェルになれる方法
 ●ローン商品の仲介をする専門家、ローンブローカーの実像


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