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  遺産相続はやがて誰もが直面する問題だが、その家族構成やライフスタイルによって親から引き継げる遺産額には差が生じてくる。たとえば、妻の実家にマスオさんとして同居する夫は、正式な婿養子と比べるととても損な存在になる。
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多様化するライフスタイルで変化する
遺産相続の損得勘定
written in 2006/10/20

 サラリーマンが一生のうちで稼ぐ平均的な生涯所得は2億円〜2億5千万円といったところ。それに対して一生で使うお金の額(生涯支出)は3億円前後と、生涯支出のほうが多い。働く環境は次第に厳しくなっていることから生涯所得は減少していく傾向にあるが、逆に生涯支出のほうは次第に増加している。昔よりも生活は華美になり、平均寿命も伸びていることからすれば当然といえることかもしれない。

これからの標準的な家庭では、生涯を通して5千万前後の赤字が生じるとも言われている。「生涯所得<生涯支出」という状況を単純にみれば家計は破綻してしまうわけだが、実際にはそうならないカラクリがある。それは、親から引き継ぐことができる財産(遺産)が所得の不足分に充当できるためだ。高齢層の数が多く、若年層が少ない逆ピラミッド型の人口構成では、子供一人あたりが相続できる親の遺産額は大きくなるため、「自分の所得+親の遺産」によって人生設計を組み立てることが一般的になってくるだろう。住宅業界においても、親から相続した土地に、息子夫婦がローンを組んで家を立てるというプランが、ごく一般的なマイホーム計画になっている。

相続問題など自分には関係ないと思っている人が大半かと思うが、統計でみると60歳以上の世帯における平均貯蓄額は約2千5百万円、それに住宅などの不動産が加わるため、老齢の親が亡くなれば、普通の家庭でも4千万〜5千万円前後の遺産相続が発生することになる。さらに富裕層となれば遺産の額は億単位になるが、相続税の負担をできるだけ少なくして円滑に子供に継承することは、彼らにとって最大の悩みどころになっている。国の方針としては、経済格差を是正するという理由から、相続税の課税を強化していく流れにある。

相続はやり方によって子供達に分配する遺産の比率が変わったり、国に収める相続税の額にも大きな違いが生じてくるために、専門的な知識やノウハウが求められる分野だ。しかも上手な相続を実行するには、親の存命中に周到な準備をしておかなくてはならない。その目的は決して“相続税逃れ”ということばかりではなく、相続の知識がなかったばかりに、子供が多額の相続税を背負う羽目になったり、受け取れるべきはずの遺産が他人に渡ってしまったという話が最近では増えている。

そこで浮上してきたのが「相続の専門家」を自称する人達だ。といっても、相続だけを扱う専門職が正式に存在するのではなく、税理士や弁護士、不動産業者、銀行など周辺分野のスペシャリスト、それに付随したコンサルタントなどが加わり、遺産相続のサポートをビジネスにしようとする動きが活発だ。1400兆円と言われる個人金融資産の6〜7割は60歳以上の高齢者が保有しており、その継承(相続)が近い将来には必ず行なわれるという状況を踏まえれば、遺産相続のサポート業は非常に魅力的なマーケットであることがわかる。しかも、相続対策の方法やノウハウは多種多様であることから、参入の余地は至る所に潜んでいる。
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この記事の核となる項目
 ●意外と語られない遺産相続の裏舞台
 ●遺産相続から見たマスオさんの損得勘定
 ●資産が10億円ある妻の実家にいるマスオさんに入る遺産相続の金額は?
 ●相続貧乏が生まれるカラクリと、自営業の継承における盲点
 ●現金を持たない土地持ち資産家の悲劇
 ●経営者の事業継承に関する盲点と対策
 ●個人事業主の事業継承における深刻な落とし穴
 ●一般層まで需要が広がる相続ノウハウの開拓と専門家の台頭
 ●米国の相続対策と専門家〜エステートプランニング
 ●米国の遺産相続におけるプロベート(相続検認)の専門家
 ●遺産を他人の手に移して殖やす〜信託の仕組み
 ●淘汰の時代に求められる「健全な廃業」を指南する専門サービス


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