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同じ品質のサービスでも納期が長いのと短いのとでは、料金が違っても文句は言われないはずである。その理屈が成り立つのが「特急サービス」といえる分野で、納期が短いほど料金設定を高くできる。その事例として参考になるのがバイク便業界の仕組みである。

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時短の効果で考える
特急サービスへの潜在需要とバイク便業界
written in 2006/10/5

 同じ銘柄のミネラルウォーターが1本150円の店と100円の店があるとしよう。さてあなたはどちらの店で買うだろうか?常識的に考えれば安い店で買うに決まっているが、現実の買い物はそうではない。3キロ先にあるスーパーと 300メートル先のコンビニでは、価格は割高でもコンビニを選んでしまうということはよくある。

我々がこの時に頭で漠然と計算しているのが“時間の経済性”という物差しだ。金額差だけでみれば3キロ先のスーパーまで買いに行くほうが安い買い物ができるのだが、「買い物にかかる時間=自分の労力」を加味して考えると、50円の差なら近くのコンビニで済ませてしまったほうが得だと無意識のうちに判断している。

医者のような高所得者ほどインターネット通販の利用率が高いのも同じ理由によるものだ。自宅のワインセラーにキープしておく来客用のワインを買い揃えるためにわざわざ自分の貴重な時間を費やすよりは、ネット通販で済ませてしまったほうが時間の経済性は高い。このような時間に対する価値観は、時給1千円で働く人よりも、時給5千円で働く人のほうが敏感になることは当然のことといえる。

一方、サービスを提供するネットショップの側からみると、注文件数が増えて売上も順調に伸びているのに、決算をしてみると以前より逆に利益は落ちているということがよくある。商品の価格は以前と同じ設定で、値引き販売をしているわけではないのに、どうして利益は目減りしていくのか?その理由も時間の経済性によるものだ。

以前なら受注した商品の発送は翌日としていたショップが、顧客からの要望によって当日のうちに発送業務を済ませるようにすれば、それだけ顧客の待ち時間を減らすこと(時短)になるが、ショップ側の出荷業務はタイトになって人件費などのコストを押し上げる。これは「時間の割引サービス(時短サービス)」をしていることに他ならない。販売価格を据え置きのままにして時短サービスを提供すれば利益が目減りするのは当然で、本来であれば電車の特急料金のように「速いサービス」ほど料金を高くしてもおかしくはない。今回はそんな視点の時短ビジネスを掘り下げてみたい。
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この記事の核となる項目
 ●速いほど料金が高くなる特急サービスへの着目
 ●品質と時間で異なる翻訳料金の体系
 ●運送業界の特急サービスとして急成長したバイク便
 ●個人の契約ライダーを組織化したバイク便の受発注ルート
 ●専門性と高付加価値で勝負する米国のメッセンジャーサービス
 ●法律分野に特化したメッセンジャーサービス
 ●医療分野における特急デリバリーサービスの可能性
 ●スピードをウリにしたオンラインスーパーの紆余曲折と打開策
 ●メッセンジャーと提携したオンラインスーパーの配送システム
 ●忙しい現代人が追求する"時間の経済性"で高まる予約権の価値
 ●知的専門家のタイムチャージ制を実現させる料金メーター


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 ●一人親方として自立するトラック運転手の起業スタイルに学ぶ
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