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  大手のサイトが他サイトとの連携関係を強化するために、自前のコンテンツや 機能を無償で公開する動きが加速しているが、その狙いを理解するためには、まず「シンジケート」の仕組みについて理解することが大切になる。
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Web2.0時代にポータルサイトが目指す
シンジケートビジネス
written in 2006/5/17

 音楽の世界で複数の楽曲からボーカルやリズムの素材を合成して一つの新しい曲を作る方法に「マッシュアップ(mashup)」というものがある。正確にいえばこれは純粋なオリジナル曲とは異なるが、素材の組み合わせ方のセンスによって新しい音楽として生まれ変わる。これと同様に、いまネット業界におけるWeb2.0のキーワードとしても「マッシュアップ」が注目されている。

従来のネットビジネスでは、サイト上に掲載するコンテンツから高度なデータベース機能までを、すべてゼロから自分たちで開発するか多額の資金をかけて購入するしかなかった。しかし近頃では、ポータルサイトがデータベース機能を他のサイトに無償公開する動きが出始めていることから、それらを活用して自分のサイトに取り組むことが「マッシュアップ」として流行っている。

よくみかける例では、グーグルマップで公開されている衛星写真のコンテンツを、不動産物件データベースや観光情報サイトの中で導入することにより、紹介する物件情報や観光情報の中に衛星写真も同時に表示されている。しかしこれがマッシュアップサイトの本質とは異なる。音楽の話で考えるとわかりやすいが、マッシュアップで新しい価値を持つ作品を作るには、複数の素材を巧みに組み合わせることで、どんなオリジナリティを生み出せるかが勝負だ。ネットビジネスでは、それに加えて、マッシュアップサイトならではの収益モデルを築くことも求められる。

その一方で、機能を無償提供するポータルサイトの側にもしたたかな狙いがあることを忘れてはいけない。Web2.0の時代にポータルサイトが取り組んでいるのは、「シンジケートビジネス」と呼ばれているもので、彼らが独占ビジネスを完成させるための手法である。シンジケートの特徴は高い市場シェアを持つ企業が、他社を巻き込んだ共同体を作ることで、さらに独占的なシェアを築いていこうとするものだ。歴史を紐解けば、製粉や製紙、銀行などの業界でシンジケート組織が築かれてきたのと似ている。そこを理解することにより、Web2.0におけるポータルサイトの戦略と、中小の商用サイトがポータルとどう関わっていくべきかの方向性が見えてくるようになる。
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この記事の核となる項目
 ●シンジケート組織を作るWeb2.0時代のビジネスモデル
 ●API公開とマッシュアップサイトの仕組み
 ●シンジケートを形成する共同体としてのグーグル戦略
 ●マッシュアップでWeb2.0機能を追加する中小サイトの動き
 ●複数のAPIを利用して作られたスキー情報サイトに学ぶ
 ●API導入を支援するベンチャー企業のビジネスモデル
 ●Web2.0に対応した技術者不足を補うデベロッパーネットワーク
 ●本家サイトを飛躍させるマッシュアップサイトの役割
 ●インフラ屋とコンテンツ屋で異なるWeb2.0の事業戦略
 ●Web2.0のeコマース革命(オンライン小売業の発想転換と原点回帰)
 ●Web2.0のサービスモデルにみる、連携と共有の次世代ビジネス
 ●ソースコード開示を求められるソウトウエア業界の生き残り策
 ●オンライン旅行予約サイトに変わる新たな旅行ビジネスの台頭


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JNEWS LETTER 2006.5.17
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