|
消費を牽引するローン事業の台頭と 住宅ローン改革への商機 |
written in 2005/1/12
国内で発行されているクレジットカードはおよそ2億5千万枚。実際にカードが使われる年間利用額は、2003年の時点で約20兆円にもなっている。これは1998年の年間利用額が約15兆円であったことと比較すると、急速に伸びていることがわかる。カードを使用する目的は、以前ならば「高額商品の購入時」が大きなウエイトを占めていたが、最近では「現金で支払うより便利だから」「ポイント特典が得られるから」という理由へと変化してきた。
消費者が“現金払い”に拘らなくなっていることは、ライフスタイルの変化と密接な関係があると言われ、カード会社の統計では未婚者、子供なしの既婚者、若い年代になるほどカードの使用率が高くなっている。特に20代の若い層になるほど、高い金利を負担することになる“分割払い”や“リボ払い”の利用に対する抵抗感も薄くなる。
カード会社の収益構造でいえば、今後は消費者がより買い物をしやすくなるための分割払いサービスを充実させてローン金利収入を増やすことが重要戦略と位置付けられている。現在でもカード会社の営業収益の中では、約6割が分割やリボ払いによる金利収入となっているほどだ。
個人ローンに重点を置く方針は、銀行や信用金庫などの金融機関でも共通している。これまでの主な収益源となっていた法人向けの融資では、優良企業ほど需要が減っていることから、収益の安定基盤とすることが難しくなっている。そこで次の稼ぎ頭として目を付けているのが個人向けローンである。個人の顧客を対象としたローン商品は、法人融資と比較して貸付額は小さいものの、その分だけ貸し倒れ時のリスクも小さく、比較的高い金利設定がされるため、安定収益源としては非常に適している。
その流れを受けて便利なローン商品が巷には多数登場してきた。銀行は消費者金融業者と提携する形で個人ローンを相次いで商品化し、消費者はコンビニのATM端末からでも気軽に数十万円のキャッシング(融資)を無担保で受けられる時代だ。またネット上の大手ポータル企業も、競うようにして個人向けのネットローンサービスを登場させるのが今後の潮流となりそうだ。300万円までの少額ローンに加えて、住宅ローンについてもオンラインからの簡単申込みが当然のこととなるはずである。これは住宅金融公庫融資の仕組みが変革されることとも関連があるが、そこで新たなビジネスとして登場してくるのが「ローンブローカー」という新業態である。
(注目の新規事業一覧へ)

●住宅ローンブローカーの仕組みについて
●住宅ローン仲介斡旋業界の構造
●住宅ローン・エージェントから学ぶ見込み客紹介ビジネス
●住宅金融公庫の変革で躍進する国内の住宅ローンブローカー
●住宅ローン専門家の役割と収益構造について
●住宅以外でも広がる個人ローン利用者の新領域
●消費者のオンライン購入単価上昇に備えた分割払いと金利の関係
●無理のない返済プランほど儲かる高利ローン業者の採算構造

JNEWS LETTER 2005.1.12
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
|
|
|
|