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経費の負担増で伸び悩むeコマースサイトの 収益構造と問題点 |
written in 2004/11/28
米国でeコマース事業が最も注目されたのは1998年〜2000年頃にかけてのこと。当時は個人向けのeコマース(オンライン販売)を展開するベンチャー企業が投資家から多額の出資を受けて華々しくデビューしたが、採算を度外視した派手な広告宣伝活動を繰り広げたことも災いして、多くのショップサイトが資金を枯渇させて消えていった。
しかし、その後の米国eコマース市場が衰退していったわけではなく、市場全体でみれば売上の規模を伸ばして成長を続けている。米商務省の調査報告によれば、2004年7〜9月にかけてのオンライン小売業の全体売上高は、前年同期と比較すると21.2%増の約
165億ドルと大幅に伸びている。ただしそれでも、この売上規模は米国小売市場に対して約 1.8%の水準で、オンラインショッピングがリアルな小売市場を凌駕するほどの伸びを示しているわけではない。
一方、日本では楽天市場へのショップ出店数が 2004年9月の時点で9,665店舗と、1年前(7,121店舗)よりも大きく伸びている。小売店経営者の中では、オンラインショップの成功事例がニュースで頻繁に報じられるのを見るに連れて、ようやく重い腰をあげて参入を決意するようなケースも増えている。その反面、出店者の声を聞くと、「以前よりもオンライン上の商売が厳しくなった」という意見が圧倒的に多い。上手に販促活動をすれば、それなりに売上を伸ばすことはできても、広告宣伝や荷造運賃にかかる経費が増しているため、利益率は目減りしている状況にあるのだ。
インターネット商圏では、出店コストの高いリアル商圏よりも参入障壁が低いために、市場規模の成長ペースよりも速いスピードで競合店が増えてしまうのがネックである。オリジナル商品を持つ製造小売ショップは別として、メーカーからの仕入に依存したショップでは今後もさらに競合が増えてくることは避けられそうにないが、その中でどのように戦っていけばよいのかを、米国eコマースサイト動向を見ながら探ってみたい。
(注目の新規事業一覧へ)
●踊り場で伸び悩むeコマースサイトのビジネスモデル
●送料無料サービス実施による損益計算
●eコマース企業における新しいビジネスモデルとは
●化粧品販売サイトにおけるサードパーティ・セラー方式の導入
●専門店化へと向かう米国の中小オンラインショップ
●ハイビジョンテレビ専門ショップにみる超専門店化の動き
●ターゲットユーザー層を選別して考える中小ショップの運営法
●オンライン消費者の市場全体における階層パターン解説
●深い専門店化によって導かれる新たな市場開拓(事例:スポーツジュエリー) ●目減りするeコマースの利益率と、勝ち組ネット事業の対比
JNEWS LETTER 2004.11.28
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