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  正社員の生産性を綿密に数値管理することで、それぞれ社員が持つ能力やノウハウをデータベース化する人事ソシューションが登場している。そのようにして蓄積されたノウハウは、人件費の安いアルバイト社員のマニュアルへとコピーされていく仕組みである。
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徹底した社員の生産性を管理する手法と
人事ソリューション
written in 2004/3/13

 従業員の出勤管理をする方法といえば「タイムカード」が古くから定着している。朝の出勤時と夕方の退社時にカードを通すことで、正味の勤務時間が記録されて残業時間を含めた一ヶ月間の給料が算定される。しかしこれからは、従業員が管理されるのは「勤務時間」だけではなく、勤務時間中にどれだけの生産性で働いたか、という「労働の質」も加わってくる。

営業部門の社員ならば、一日に訪問した営業件数〜成約件数までが細かく評価されるのは当然のこととして、工場のラインで働くパート社員でさえも一時間毎の作業能率や不良品を出した件数などがコンピュータで管理・評価されて、翌月の時給や勤務時間数を変動させる仕組みは、既に大手メーカーの現場では導入されているものだ。


優れた社員のノウハウをマニュアル化したい企業

このように従業員の能力や生産性を細かく数値管理することの延長線上にあるのが「コンピテンシー(competency)」と呼ばれる概念である。“competency”は「能力」を意味する単語だが、人事管理におけるコンピテンシーとは、優秀な社員(=企業が求める目標を達成している社員)が、なぜ仕事を上手にできるのか(目標を達成することができるのか)、その理由(能力)をデータ化・分析して、優れた仕事のやり方(作業方法)を“会社のノウハウ”として蓄積、マニュアル化しようとするものだ。

例えば、自動車部品の製造工場では、平均的な工員が1時間に50個の部品を仕上げられるのに対して、一人だけ1時間に55個仕上げられる優秀な工員がいることを管理データから見つけだす。すると工場側では、彼の作業方法(体の動かし方から道具の使い方まで)を詳しく分析して“優れている箇所”を見つけ出す。それがマニュアル化できる内容であれば、他の工員にも同じ作業方法を指導したり、作業ラインを改良するなどして、すべての工員が1時間に55個を仕上げられる体制を“標準値”とすることで、工場全体の生産性を高めていく。

逆に、どうしても1時間に45個しかできない工員がいれば、その現場には不適格な人間として配置転換をするか、リストラの対象となってしまう可能性が高いだろう。

このように「優秀な社員」「標準より劣った社員」を的確に見つけだすことは、タイムカードによる勤務管理だけではできない。近年では労働体系の多様化によって正社員、派遣社員、アルバイト社員、在宅社員、外部のアウトソーシング会社の社員などが混在して同じ業務に関わるケースも増えてきたことから、各従業員の仕事内容を正確に把握、記録できる仕組み作りが求められている。そこに向けたソリューション・ビジネスには商機がありそうだ。 (注目の新規事業一覧へ

この記事の核となる項目
 ●社内情報流失対策としての従業員管理システム
 ●社員のあらゆる行動を知的資産として蓄積する会社
 ●社員の行動管理に向けたソリューション市場の動向
 ●社員のパソコン使用状況を管理するシステム
 ●タイムカードのIT化による新たな人事管理ソリューション
 ●米国で成長する新人材ビジネス「従業員リース事業」への着目


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