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営業コストの無駄に着目した非対面営業の考え方

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JNEWS会員配信日 2002/3/11

 会社が儲かる、儲からないを判断するための指針としては「売上高」よりも「利益」を重視しなければならないが、同じ販売価格、同じ粗利益率でも最終的な利幅を左右させる要因となるのが「営業コスト」である。

リアルな業界では営業社員を大量に抱えて、体力勝負の営業活動を展開することも珍しくないが、大規模な営業部隊は、そのまま人件費として経営に重い負担をかけることにつながる。もちろん雇用している営業社員が常に給料以上の働きをしてくれれば問題ないのだが、なかなかそう簡単にはいかないものだ。

営業活動が上手く回っていない会社の大半は、経営者が各営業社員の活動内容を的確に把握できていない。もちろん毎日の営業成果は直属の管理者を通して報告されるのだが、その結果だけを見ても「営業活動のどの部分が非効率なのか」は見えてこない。特に、経営者が技術畑の出身で、営業経験が浅い場合には、営業社員を上手に動かすことには苦労する。

【低い限界値のある一日の訪問件数】

 営業活動をリアルに展開しようとすると、人件費の他にも移動にかかる費用など様々なコストがかる。それにも関わらず、営業社員が一日に訪問できる取引先の数は平均して午前3件、午後3件で合計6件といったところだ。仮に、営業社員を一日動かした時にかかる総費用(人件費+交通費など)が2万円とすれば、訪問先1社あたりにかかる営業コストは、成果の有無に関わらず約 3,300円ということになる。

営業活動は訪問件数を増やせば、それに比例して成果が上がるというものではない。営業の質と訪問件数とのバランスが大切で、質の伴わない営業を数十件繰り返してもまったく成果は上がらない。逆に結果の伴わない訪問営業を数十件と続ければ、営業マンの精神的なダメージが大きくなり、営業意欲が低下してしまう。自信を失った営業マンによる訪問は、取引先にも悪い印象や影響を与えてしまうので、社員にただノルマだけを押しつける営業戦略というのは得策ではない。

【営業活動の工程を細分化する】

 そこで闇雲に営業活動をおこなうのではなく、効果的な営業活動の工程を細分化してみることが重要だ。ポイントとなるのが下記の項目である。

(1)営業対象とする見込み客リストの収集
    ↓
(2)営業する商品(サービス)に対する購入意欲レベルの把握
    ↓
(3)関心の高い見込み客に対して新規訪問のアポイント
    ↓
(4)実際に訪問しての営業(商談)→新規契約
    ↓
(5)固定客化するための継続的なフォロー

ダメな営業戦略の典型例は(1)~(3)の作業を省略して、アポなしですぐに訪問営業に出歩くというパターン。これでは目隠しをされたまま、標的を探しながらライフル銃を乱射するような営業しかできない。もちろん結果は伴わず、実弾を無駄遣いするだけに終わってしまう。

【変化するアポ獲得ための定番手法】

 営業のイロハがわかってくると、営業先の絞り込みに工夫を凝らすようになる。第一の作業は「営業対象となる見込み客リストを収集すること」だが、簡単な方法としては、ターゲットとなる業種と地域の企業を電話帳などから抽出して、軒並みに電話セールスをおこなう手法が一般的だ。その中の100社中1件でも見込みのありそうな反応を電話で掴めた段階で、実際に訪問営業をおこなうというやり方。

見込み客リストの獲得方法としては、関連性のある業界名簿を入手したり、他社の顧客リストが売買されることもある。

ただし電話セールスでさえも、社員を一日中、電話口に貼り付けさせていたのでは効率が良くない。加えて最近では、電話セールスに対して嫌悪感を表す企業や一般消費者は増えてきている。断われ続けられている電話セールスというのも、営業社員をネガティブな気持ちにさせてしまうことを考慮する必要があるのだ。

そこで最近では「電話」よりもさらに効率化できる初期段階の営業手法として「電子メール営業」を主軸に考える企業も増えてきた。メールマガジン配信という形ではなく、営業対象となりそうな会社に対して、個々に商品やサービスの案内メールを送るという方法。その際の、文章の内容やメールの送信先によっては“迷惑メール”と受け取られるリスクもあるが、それぞれの送信先企業に対して具体的な企画を提案した内容であれば、郵便によるダイレクトメールよりも高いレスポンス率を得ることもできる。受信側に「迷惑」と受け取られるか否かは、その内容によって決まる。

個人顧客にしても、法人顧客にしても、以前よりも自宅(または会社)にいない時間帯「不在率」が高まっているため、なるべく段階的な見込み客の絞り込み方によって“無駄足”を踏まないような営業手法を生み出していく必要がありそうだ。

【非正社員でも可能な非対面営業】

 電話営業や電子メール営業で第一段階の見込み客を絞り込む作業は、なにも正社員が担当するという考え方に固執する必要はない。有能なアルバイトやSOHOスタッフを組織化した営業網をつくり、そこから上がってきた見込み客案件を、営業社員が実際に訪問するといった形のほうが、コストがかからずに効率的な営業ができる。

各分野の企業にとって共通していえることは、今後の新規顧客の獲得手法としては「従来のアナログ的な営業手法のみに固執することなく」またその一方で「ネットやITだけの電子営業に全面移行するのでもない」両者の長所をバランス良く取り入れた新しい営業スタイルを確立するところにポイントがある。

ニッチな市場を狙うのであれば、「会社の規模を大きくしすぎないこと」も重要になるが、リアル営業にかかるコスト負担を極力抑えながらも、広い商圏をカバーするためには、リアルとデジタルとを融合させた新営業手法を開拓するすることが高収益体質へとつながる。営業社員の労働生産性を高めるためには、「無駄な動き」を極力省いた顧客獲得の流れを作ることが大切だ。

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