米国でフードデリバリーやフードトラックなど、無店舗型フードビジネスの起業者が増えている背景には、「キッチンインキュベーター」と呼ばれる、起業者向けレンタル厨房施設の存在がある(JNEWSについてトップページ
フード起業者を育成するキッチンインキュベーター

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JNEWS会員配信日 2019/10/16

 米国では、自前の厨房設備を持たない、フードデリバリー、フィードトラック、通販で加工食品を販売したい等の料理人をターゲットにしたレンタルキッチン施設が増えているが、これらは単に厨房設備を貸すだけではなく、料理人の起業を多方面からサポートする施設としての方向性を目指した「キッチンインキュベーター」と呼ばれている。

不動産開発会社や行政機関向けに、新たな都市整備のコンサルティングを行っている「Econsult Solutions」が2016年に公開したレポートによると、米国内では2013年から2016年にかけて、キッチンインキュベーターの数が増加して、39の州で200ヶ所以上の施設がある。その61%は営利事業として運営されており、8割の施設は収益を毎年向上させている。地理的な分布では、キッチンインキュベーター施設の58%が都市部にあり、残りの27%が郊外、21%がローカルな食材を活用しやすい農村部にある施設だ。


キッチンインキュベーターのビジネスモデルは、会員登録をした料理人に対して時間単位または月額単位で厨房設備をレンタルすることが主体で、食材を保管しておくための冷蔵・常温の倉庫、顧客を招待した試食会や料理教室などを開催できるイベントスペースのレンタルなども、オプションサービスとして用意されている。

厨房レンタルスペースの利用体系は、1時間あたりのレンタル単価が20~25ドルで、1回あたり2~8時間の利用となるのが一般的。それに毎月固定の調理スペースを貸す場合の家賃、イベントスペースなどの使用料が主な収益源となっている。また、外部の専門家や団体とも提携して、調理の技術指導や地元食材の共同仕入れ、販路開拓や資金調達などの経営アドバイスも行うことで、サービスの幅を広げている例もある。

キッチンインキュベーターは、20,000平方フィート(1858平米)を超す大規模な施設もあるが、統計的には5,000平方フィート(464平米)未満の小中規模施設が5割以上を占めている。そこではフルタイム、またはパートタイムで雇用されるスタッフ数が最小限に抑えられており、会員には鍵を渡して、厨房への出入りが無人でできるようなシステムになっている。そうした運営の効率化により、事業の黒字化を実現させている。

《キッチンインキュベーターの施設面積(米国)》

《運営人員の内訳(正社員)》

《収益の内訳》

《1施設あたりのテナント・会員数》

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