日本で普及が推進されているQRコード決済は、今のところ加盟店と利用者側の導入コストをゼロに近い条件で提供しているが、将来的には大きく3種類の収益モデルが 考えられている(JNEWSについて
QRコード決済が描くビジネスモデルと収益構造

JNEWS
JNEWS会員配信日 2018/12/19

 中国ではスマートフォンの普及に伴い、アリペイやWeChatペイなどのQRコードを利用したモバイル決済が急速に普及している。QRコード決済の方式には、「顧客が提示したQRコードを店側が読み取る」、「店側が提示したQRコードを顧客が読み取る」」という2種類があるが、店側では専用の決済端末を設置しなくても導入することが可能だ。そのため、個人が経営する飲食店や屋台でも導入がしやすく、代金の授受を“QRコード決済のみ”で行う店舗も増えてきている。

日本でもソフトバンクとヤフーが共同出資した「PayPay(ペイペイ)」が100億円のキャッシュバックキャンペーンで話題を集めたが、本来のQRコード決済は、クレジットカード決済を導入していないスモール店舗への導入に適している。

PayPayでは、いまのころ加盟店舗の条件を、初期導入費、決済手数料、入金手数料をすべてゼロ円としているが、決済手数料は3年後に有償化する可能性も示唆している。それまでに圧倒的な利用者数を作り、消費者が「PayPayが使える店でしか買い物をしない」という、新たなモバイル決済の習慣を日本に根付かせることが、生き残りの鍵となる。

QRコード決済の収益構造には、大きく3つの柱が考えられている。1つは、買い物の決済時に、店舗側から手数料を徴収することだが、QRコード決済は残高をチャージしてから使うのが基本となるため、決済代金の未回収リスクは低く、クレジットカードの決済手数料(平均3%)よりも、レートを低く抑えることができる。

2本目の収益源は、加盟店の集客に役立つ、各種の販促支援機能を提供することで、加盟店から広告費やマーケティング費用を稼ぐことである。中国でQRコード決済が爆発的に普及した理由もここにあり、消費者は現金払いをするよりも、安く買い物ができたり、ポイント還元率が高いなどの特典があるため、若者を中心に、外出時には財布を持たずに、スマートフォンですべての買い物をする習慣が広がっている。

そして3本目の柱となるのは、顧客に各種の金融サービスを提供して、金利収入を稼ぐことである。中国で6億人以上が利用するアリペイには、「花唄(ホワベイ)」というローン機能があり、買い物代金の分割払いやリボルビング払いができるようになっている。また、アリペイの残高としてプールされている余剰資金は、余額宝(ユエバオ)という投資信託(MMF)により、年率4%で運用することができる。

《QRコード決済から広がる新サービス》
・顧客ターゲットを絞り込んだ広告配信
・割引きクーポン、ポイントの発行
・実店舗とeコマースサイトの連携
・ショッピングローンの提供
・投資向け金融商品の販売
・顧客の購入履歴を分析した信用スコア

 このように、モバイル決済はスマートフォンを起点として、多様なショッピング機能や金融サービスを提供していける可能性があり、財布やクレジットカードさえも持ち歩かずに生活できる時代は、着々と近づいている。

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