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多方面へと展開する社会貢献事業の
行方とビジネスモデル
written in 2009/6/27

 寺社を参拝した時の賽銭箱には「浄財(じょうざい)」と書いてある。これは善意の心で支払うお金のことを指しており、普段の買い物をする時とは違った心持ちで、たとえ少額でも賽銭を差しだそうという気持ちになるから不思議なものである。しかし近頃では“浄財”という言葉が都合の良いように使われて、政治家の資金集めにも「ご浄財のお願い」などと言われるのには閉口するが、彼らの活動も、いかに有権者の善意の気持ちを掴むのかにかかっている。

その意味では、企業も消費者(顧客)から“浄財”として売上を得られるのが理想である。「この会社は世の中に良いことをしているから、多少割高でもお金を払ってあげよう」と考える顧客を増やすことが今後の課題になっている。そのキーワードとして筆頭に挙げられるのが「エコ(環境)」であり、最近の新製品や新サービスでは、様々な環境的付加価値が盛り込まれていることは周知の通り。その他にも、企業が地域の活動に参加しようとする動きもある。

しかし、これらの活動が純粋な社会貢献と違うのは、あくまで企業が売上や知名度の向上との相乗効果を狙った“意図的な善意”であるという点だ。これを欧米では「コーズマーケティング(Cause Related Marketing:CRM)」と呼び、事業と関連した社会貢献活動を展開することで、企業の新たなブランドイメージを築いていこうとするものだ。

コーズマーケティングの代表的な事例としては、米化粧品メーカーのエスティローダー社による、女性の乳がん早期発見を促すためのピンクリボンキャンペーンや、映画俳優のポール・ニューマン氏が設立した、無添加サラダドレッシングメーカーのニューマンズ・オウン社(Newman's Own)が、事業で得た利益の全額(26年間で 約225億円)を慈善団体へ寄付することで、消費者からの絶大な支持を得て業績の拡大に繋げている話がある。

エスティ ローダー社のピンクリボンキャンペーン
ニューマンズ・オウン社(Newman's Own)

このように企業が展開する社会貢献活動への原資は、従来の広告宣伝費の代わりとして充当されていることが多い。その効果として、善良なブランドイメージがテレビCM等よりも社会に浸透しやすいのであれば、もはや大金を投じて広告を打つ意味はなく、その分の資金を社会貢献のために投じたほうがよい。日本では約7兆円もの資金が企業の広告費として使われているが、今後、その何割かはコーズマーケティングとして社会貢献活動に流れてくることは間違いない。

その資金の受け皿となるのがNPO(特定非営利活動法人)の存在で、企業は自らの手で社会貢献活動を行なうというよりも、NPOへの寄付によって責務を果たそうとする。日本では企業とNPOとの役割分担が未だ確立していないが、世界では「企業の社会的責任投資」として約300兆円もの資金が社会貢献活動に流れている。

さらに、米オバマ大統領はNPOの設立や運営に関わっていたという経歴を持つことからも、今後の経済政策として、NPOが展開する社会事業に対して積極的な助成をしていくことが盛り込まれている。そうなれば、日本でもNPOを基盤とした事業展開も視野に入れておく必要があるが、現状では国内NPOの経営ノウハウは蓄積が乏しく、個人ボランティアの延長といったところに過ぎない。しかし欧米ではNPOが営利企業よりも巨大ビジネスとして成り立つようになってきている。その違いはどこにあるのかを検証していこう。
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この記事の核となる項目
 ●NPOに対する誤解と社会事業の利点
 ●NPOにおける利益循環の流れ
 ●NPOの収益構造はどこか魅力的なのか?
 ●NPO経営を支える収益の3本柱とは
 ●日本のNPO経営はなぜ上手くいかないのか?
 ●社会貢献事業が生み出す新たな職業
 ●企業向けボランティア支援ツールの仕組み
 ●多方面から仕掛けるNPOの新ビジネス
 ●NPOが開催するサイレントオークションの仕組み
 ●社会貢献と相続対策を兼ねたシニア起業のビジネスモデル
 ●地域の団体をビジネスパートナーとして販路開拓する企業戦略
 ●営利企業の商圏を脅かす非営利団体と有償ボランティアの影響力
 ●寄付金集めのプロとして活躍するファンドレイザーの役割


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JNEWS LETTER 2009.6.27
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