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米国税金還付サービスにみる
知識開発会社のビジネスモデル
written in 2006/7/6

 経営コンサルタントとして開業したとしてもクライアントを獲得(勧誘)することはなかなか難しい。特に中小企業や個人事業者の規模では、成果が明確にわからないアドバイスや指導に対価を支払う余裕はあまりないはずだ。そこでコンサルタント職の新たなビジネスモデルとして、「具体的な成果が生じなければ料金はいただきません」という成功報酬型の知識開発会社が米国で登場しはじめている。その中でもFCビジネスとして広がりを見せているのが、税金の還付金を申請代行するサービスである。

米国では、サラリーマンの立場でも所得税の申告書を作成して提出するのが義務になっている。そのため毎年膨大な数の申告書類が作成されることになるが、日本と違って申告書の作成に関わる仕事に公的な資格を必要としない。日本では税理士の資格がない者が他人の申告書を作成することができないが、米国では無資格者でも可能だ。そのため、納税申告書の作成代行サービスが成り立っている。ちなみに中小企業の納税申告では、無資格の代行サービスを利用して申告書を作成した後、公認会計士(CPA)のチェックを受けるという方法も一般的である。

確定申告のことは「タックスリターン(Tax Return)」とも呼ばれていていて、税金は先に多めに払っておいて、確定申告をすることで還付を得るというところに、申告することの意味がある。米国ではその意味が名称に色濃く残っているというわけだ(もちろん、申告すれば必ずリターンがあるとは限らないが)。それだけに税法の裏を読んでできるだけ還付金を多く得ようという試みは絶えず、税法も抜け道を防ぐために毎年改正が繰り返されて複雑怪奇なものになっているのは日本も同じだ。

税の知識をソフトウエア化する申告代行業者

     税金に関する専門家であれば、申告や節税の方法に関してすべて知っているというわけではない。税法は毎年のように変更されるため、たとえ専門家であっても新たな情報や知識を常に勉強していなければ、最前線の現場で活躍し続けることは難しい。しかし税務申告代行業者としての日常業務は、依頼者の所得を計算して申告書を作成するという定型作業の繰り返しに大半の時間を消費してしまうため、新たな知識(節税ノウハウなど)の開発をしている余裕がないのが実態。また、一人の専門家が対応できる顧客の数には数十名程度という限界値があるために、どんなに忙しくても売上が大きく伸びないという悩みを抱えている。

    そこで米大手の税務申告代行業者は、税務手続きの申告手続きと節税ノウハウをソフトウエアとして集約し、それを顧客に提供してセルフサービスで申告書の作成をさせようとする流れに向かっている。「税の専門家」としての仕事は、個々の顧客と対面してアドバイスすることよりも、税務に関する新たなノウハウをソフトウエアの中に反映させようとするスタンスだ。

    個人事業主やサラリーマンを対象とした米税務申告代行業者として最も高いシェアを獲得しているのが H&R Block社で、約2千万人の納税申告を代行していると言われている。そのため従来の会計事務所が顧客を奪われて経営不振に陥っているような状態も生まれている。

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この記事の核となる項目
 ●経営コンサルタント業のフランチャイズビジネス
 ●成功報酬型で顧客を獲得する還付金ノウハウの開発会社
 ●還付金申告代行業者のビジネスモデル
 ●“知識を生み出す専門家/知識を使う専門家”の分業化時代
 ●見込客開拓の技術開発に専念する不動産FCのモデル
 ●飲食業の新業態として注目される新ビジネスと知財化するレシピ
 ●設備の耐用年数から見つけ出す有望市場とローテク業界への着目
 ●商売繁盛のノウハウを知的財産化する発想と契約専門家の台頭
 ●知財社会を担うサラリーマン技術者が独立起業を果たす道
 ●会計事務所の経営事情と顧客獲得術に学ぶ士業ビジネス


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