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動的値下げで収益性を高めるスーパーのフードロス対策

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JNEWS会員配信日 2022/7/8

 スーパーマーケットでも動的価格の導入が検討されているが、こちらは廃棄食品を減らしながら利益を増やせる利点がある。現在の食品小売業では、日本国内だけで66万トンの商品が売れ残り在庫として廃棄されている。

スーパーで販売される商品には、精肉、惣菜、弁当、パンなどに設定される「消費期限(3~5日)」、スナック菓子、カップ麺、缶詰、ペットボトル飲料などに設定される「賞味期限(3ヶ月~1年)」があり、在庫期間が長くなるほど商品価値は劣化していく。そのため、賞味期限が6ヶ月ある商品でも、店舗に納品されるのは製造から2ヶ月以内に限定され、4ヶ月が経過しても売れなければ売り場から撤去するという「3分の1ルール」が商慣習として存在している。

《食品賞味期限の3分の1ルール》

消費者にしてみると、同じ代金を払うのであれば「賞味期限は長いほど良い」が、品質には問題が無く、賞味期限が短い分だけ価格が安いのであれば、そちらを購入したいというニーズが、インフレへの対抗策として増えている。店舗側にとっても、商品の廃棄ロスを解消できると、収益を大幅に改善できる効果がある。

イスラエルを拠点とする「Wasteless」は、生鮮食品の動的価格システムを開発している会社で、欧州で400店舗以上のスーパーマーケットに導入されている。

同社のシステムは、ヨーグルトや精肉など、生鮮食品の消費期限、現在の売上、在庫数、ライバル店の価格、天気予報など、40以上のパラメーターから、AIが適正な商品価値(価格)をリアルタイムで算定して、1日に2~4回の頻度で価格変更していくことができる。1回の値下げ率は 2%前後に抑えられ、商品の消費期限までに少しずつ、約30%まで価格を下げていくのが基本的なルールになっている。この方法は、消費期限の直前に大幅割引きをするよりも収益性が高いことが実証されている。

このシステムを導入したスーパーでは、パッケージ化された生鮮食品の廃棄個数を、消費期限の4日前までに20%、2日前までに40%減らすことができ、店舗全体の営業収益が6.3%上昇したことが報告されている。Wastelessでは、動的価格の導入によって廃棄ロスが減ることで、商品の入れ替えコストなども省くことができ、生鮮食品1個あたりの純利益を約3%伸ばすことができるとしている。

Wasteless
■動的価格システムの紹介映像

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