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排出量算定システム開発市場と気候変動スコアリング

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JNEWS会員配信日 2021/9/24

 世界ではGoogle、Amazon、Facebook、Microsoft、IBM、Intelなどが、CO2排出量ゼロのカーボンフリー経営を2030年頃までに実現させる目標を掲げている。具体的な方法としては、自社サプライチェーンの排出量を算定して、業務の改善点を探ることに加え、それだけで解消できない排出量については、カーボンオフセットのクレジットを購入することなどが計画されている。

そうした、カーボンフリー戦略に対するビジネスチャンスとしては、「排出量算定ツールの提供」、「業務を省エネ化できる各種テクノロジー」、「CO2排出権の仲介取引」などが挙げられている。この中でも、直近のニーズが高まっているのが、排出量算定ツールの提供である。

2020年1月に米アリゾナ州に設立された「Persefoni(ペルセフォニ)」は、企業の系列サプライチェーン全体の排出量算定、AIによる分析や管理、報告書の作成と開示までができるクラウドプラットフォームを開発するスタートアップ企業として注目されている。

同社を設立したケンタロウ・カワモリ氏は、アリゾナ州立大学で経営学を学んだ後、コンサルティング会社で石油や天然ガス業界を担当する中で、これからの企業は環境規制が厳しくなり、財務諸表の提出と同様に、CO2排出量の報告も義務化される流れを予見して、コンサルティング時代の仲間と共に、排出量算定プラットフォームの事業を立ち上げている。

Persefoni

日本市場では、2019年創業のアスエネ株式会社が、CO2排出量管理のクラウドプラットフォーム「アスゼロ」を2021年8月にリリースしている。このサービスを利用すると、排出量の算定をする企業の担当者は、取引先に発注した資材調達や輸送費の請求書やレシートをスキャンしてアップロードすることで、AIによるデータ入力と排出量の算定、報告書の作成までを自動化することができる。

アスゼロサービス

 CO2排出量の算定に関連した分野では、気候変動スコアリングへの対応ニーズも関係している。気候変動スコアリングとは、2000年に英国で設立された国際NGO団体のCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)が、主要国の上場企業に対して、CO2排出量の情報開示を求める活動として展開されているものだ。

CDPは、上場企業に対して気候変動への対策についての質問状を送付して、各項目の回答を分析、評価することで採点を行い、最終的に「A・A-・B・B-・C・C-・D・D-」の8段階でスコアリングを行い、年金基金、銀行、保険会社などの機関投資家に対して開示している。

質問状に対する回答は強制ではないが、無回答の場合にはスコアが0点となり、F(回答評価に十分な情報を提供していない)の判定がされるため、環境対応を重視する機関投資家の投資対象からは外れて、株価が下がるリスクがある。そのため、CDPからの質問状は無視できないものになっている。

CDPの日本向けサイト

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