金(ゴールド)の購入方法として、鉱山から買い付けた金をセキュリティトークン化する仕組みが考案されている。金ETFのような数字だけのペーパーゴールドではなく、金の現物資産を安全に保有できる仕組みとして注目されている(JNEWSについてトップページ
セキュリティトークンによるゴールド取引市場の変革

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JNEWS会員配信日 2021/7/26

 海外では、米国、ドイツ、英国、スイスなどが、政府の管理下で規制をかけながら、セキュリティトークンによる資金調達(STO)を容認していることから、不動産、美術品、ワインなど様々な有形資産の所有権を分割して投資家に売り出すことが「Tokenization(トーキンゼーション)」として注目されている。

マレーシアを拠点とするトークン発行会社の「MetalStream」は、金(ゴールド)の地金をトークン化して投資家に販売する計画を立てている。従来の金投資は、金価格に連動した金融商品(金ETFなど)を購入するか、金の実物を購入して金庫に保管するしかなかったが、トークン化することにより、より手軽で低コスト、安全な取引ができるようにすることを目指している。

MetalStream社は、金鉱脈を持つカナダの鉱山会社2社との提携により、純度99.5%の金を調達できる立場にある。金は信託銀行の金庫に保管された後、イーサリアムのブロックチェーンをベースに開発された「MSGLD」というセキュリティトークンとして売り出すが、鉱山会社との先物買取契約により、金の市場相場よりも割引価格で投資家に提供できるのが特徴だ。

1単位のMSGLDにつき、金1gの価値が付与されるため、1MSGLDが50ドルで売り出されると、現在の金相場(1gあたり63ドル)よりも約20%の割引率になる。新規売り出し(STO)で購入したMSGLDトークンは、90日間の最低保有条件が付いており、その期間を経過すればトークンを転売することや、金の実物と交換する権利を行使できる。

MetalStream

《トークン金取引の仕組み》

金への投資方法は、現物の金を購入して保管することが最も信頼できるが、金庫の費用、輸送料、保険料などで年間3%前後のコストがかかると言われている。
そのため、個人投資家はETFを購入するのが一般的だが、大半のETF運用会社は現物の金を保有するわけではなく、金価格に連動した金融商品の裁定取引を行う仕組みになっている。そのため投資家は、有事の際などに金の現物とは交換できない額面だけの「ペーパーゴールド」を保有しているに過ぎない。

対して、セキュリティトークンによる金の売り出しには、現物資産としての裏付けがあり、金を自宅で保管するよりも安全で、必要な時にはトークンと金の交換ができる仕組みだ。これまで金の現物取引は、ロンドン金市場で一部の認定業者が独占して価格を決定してきたが、セキュリティトークンは、その流通構造を崩せる可能性を秘めている。金のトークン取引を成功させるポイントは、鉱山会社から直接調達する金の品質を、ロンドン市場と同等以上で維持していけるかにかかっている。

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