モバイル自動車修理サービスの新業態と採算構造
米国では出張型で自動車修理を行うモバイルメカニックサービスが、修理業界の新興勢力として成長しはじめている。調子が悪かったり、故障した車は動かすことにリスクがあるし、修理工場に持ち込むオーナーの手間を省けるため、出張修理の業態は理にかなっている。
2018年に米ロサンゼルスで創業した「RepairSmith(リペアスミス)」は、自動車のモバイル修理で全米展開を目指すスタートアップ企業で、現在はカリフォルニア、アリゾナ、ジョージア、ネバダ、オレゴン、テキサスなど650以上の都市にサービス拠点を広げている。
同社の出張修理は、バッテリー交換、オイル交換、ブレーキの点検や調整、プラグ交換、エンジンチューニングなど、修理工場と同様のフルサービスに対応したもので、作業した内容については12,000マイル(約1.9万km)の保証も付けている。修理依頼のおよそ9割は、顧客の駐車スペースで行える作業で、特別な設備が必要な作業については、提携先の整備工場に車両を持ち込んで対応している。
ユーザーは、スマホアプリから修理希望の日時、希望する作業内容、車種と年式を入力すると、その車に精通したメカニックが専用工具を積んだミニバンで出張して作業を行う。出張するのは、RepairSmith社にフルタイムで雇用され、正式なトレーニングを受けた整備士であり、Uberのようなギグワーカーの仲介サービスとは異なっている。整備士の人件費(固定費)はかかるが、各都市に整備工場は持たないため、既存のディーラーや独立系の修理業者と比べても、価格面で競争力が高い。また、ユーザーはアプリ上で事前に作業料金の見積を確認した上で予約ができるため、価格の透明性が高いのも特徴である。
同社の報告によると、創業から3年間で約10万件の作業依頼を受注しているが、その中では、個人客の他に、大量の車両を管理するレンタカー会社やカーリース会社も大口の取引先になっている。出張型の自動車修理サービスは、以下のような利点からも、これから普及していく可能性が高い業態として投資家も注目し始めており、RepairSmithに対しては、自動車メーカーのメルセデスとポルシェが出資を行っている。
■出張サービスの紹介映像
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