eコマースの普及に伴い、 オンラインで購入した商品の返品が気軽にできるサービス対応が求められるようになっている。その仕組みを提供するのが返品プロバイダーと呼ばれる業者で、地域の実店舗を窓口として提携サイトの返品を受け付けている(JNEWSについてトップページ
返品商品の回収を請け負う返品プロバイダーの役割と手法

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JNEWS会員配信日 2021/7/17

 販売された商品の返品対応を効率化していく作業は「プロダクト・リターンマネジメント」と呼ばれている。米国で中規模以上のオンライン小売業者は、返品対応に社員のリソースを費やすのは非効率と考えて、返品作業の一部または全体を返品管理の専門業者(返品プロバイダー)に委託する業界構造が形成されるようになっている。

返品プロバイダーの仕事には、(1)顧客が円滑に返品手続きを行えるようにするシステムの提供とリバース物流ルートの構築、(2)返品された商品の再商品化や清算、(3)返品率を下げて採算性を向上させるマネジメント、という3つの役割がある。その中でも、世界の小売業者をターゲットとしたクラウドビジネスとしても成長しているのが(1)の分野である。

2015年に米ロサンゼルスで創業した「Happy Returns」は、老舗百貨店ノードストロームの返品プログラムを開発したチームが立ち上げたスタットアップ企業で、そのノウハウと手法を、大手のブランド企業や、shopifyなどのショッピングモールに出店する中小業者向けにも提供している。

Happy Returns社の返品ソリューションは、顧客がワンクリックで返品手続きを行えるアプリの開発と、対面で返品対応ができる提携窓口(リターンバー)を全米2500ヶ所以上に整備することによって構築されている。

従来の返品方法は、商品購入先のサイトで返品申請をした後、プリンターで出力した配送票をダンボールに貼り付けて、郵便局や宅配便の窓口に持ち込む方法が主流だったが、近頃はプリンターを持っていない家庭が増えていることから、紙の配送票を使わない返品方法が求められるようになっている。

Happy Returnsのソリューションは、それに対応したもので、スマホアプリから返品申請をした後、最寄りのリターンバーに商品を持ち込んで、アプリ画面上のQRコードを提示することで返品手続きが完了する。商品を梱包する必要もなく、確かにショップの倉庫まで返品されたのかも、アプリ上から追跡することができる。リターンバーとなっている返品窓口には、地域のショッピングセンターや中小店舗、FedExの営業所などがある。

《Happy Returns返品の仕組み》


■返品ソリューション紹介映像

米国では、オンラインで購入した商品を返品できるルートとして、最寄りの店舗を利用したい消費者層が一定数ある。これは面倒な梱包作業を省いて、商品をそのまま持ち込める「バルク返品」を望むためとみられている。また、オンライ小売業者にとっても返品対応は対面で行ったほうが不正な返品客を排除できるメリットがある。このように、商品はオンラインで購入して、返品は店舗窓口で行う形態は「Buy Online, Return In Store (BORIS)」と呼ばれている。

そのため、米国に複数ある返品プロバイダーの中でも、返品窓口のネットワークを広げている業者の価値が高まっており、PayPalは2021年5月に、Happy Returns社を買収している。

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