大都市圏2時間以内配達サービスの潜在市場と注文特性
近頃では、AmazonプライムやUber Eatsのように、オンラインで注文すると短時間で商品が届くサービスに消費者が慣れているため、通常のオンラインショッピングでも、多少割高な料金を払っても「できるだけ早く配達して欲しい」というニーズがある。それに対応するため、注文から2時間以内に配達するオプションサービスを用意するEC業者が、米国では増えている。
「Darkstore, Inc」は米国の主要都市(283都市)で550ヶ所のマイクロフルフィルメントセンタ(MFC)を設置して、ネット直販ブランド業者の短時間配送を代行するビジネスで急成長している。ブランド業者は、自前の物流施設を持たなくても、Darkstoreの各地フルフィルメント施設に商品を保管委託した後、ECサイトにソースコードを1行加えるだけで、即日配送を実施できる手軽さが成功の要因だ。
Darkstorのビジネスは、EC業者から在庫商品の保管料は徴収せず、1回の商品出荷につき価格の3%、または2~20ドルの手数料(配達送料は別)を請求する収益構造になっている。MFC施設からの商品配送は、DoorDashなどのデリバリー業者が担当する。
Darkstoreでは、MFC施設の運営と並行して、プレミアムブランドの商品を2時間以内に配達するサービス「FastAF」も立ち上げている。たとえば、スキンケアブランドの「Aesop(イソップ)」は、ボディケアセットが100~200ドルするが、翌日のアウトドア活動で使うため今日中に欲しいというニーズがある。同様に、高付加価値のマスクや消毒液、ベビー用品、ペット用品、寝具類などにも、2時間配送のニーズがある。
また、スポーツブランドの「Nike」は、NBAオールスターゲームが開催された翌日に、エアジョーダンモデルの新作シューズをSNSの「Snapchat」上で発売して、Darkstoreを介して即日配達するキャンペーンを実施した。その結果、23分で完売するという成功を収めている。
即日配達サービスに適しているのは、注文単価が高くて配送コストを差し引いても高い収益が見込める高付加価値型の商材で、価格よりも「時間」を重視する消費者が顧客層となるため、一度利用するとリピーターとして定着しやすい特性もある。
「FastAF」のショッピングサイトでは、2時間配送に対応した約170のブランド、1200アイテムの商品を扱っており、消費者は1回の注文で複数の商品を取り寄せることができる。同社の発表によると、顧客は1回の注文で平均4つのアイテムを購入している。
2時間配送サービスを実施するには、1回の配達につき約10ドルのコストがかかるが、1注文あたりの購入点数が増えれば、1アイテムあたりの配送コストを下げることができる。FastAFが、複数のブランドを集約した2時間配送サービスを行うのも、そこに理由がある。
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