資産価値を高めるコレクション品の封印格付けビジネス
米国で、古いコミック本が収集品としての資産価値を高めてきたのは、2000年頃からのことだが、これには、コミック本の品質チェックと格付けが公正に行える仕組みが開発されたことが関係している。2000年に米フロリダ州で設立された「Certified Guaranty Company(CGC)」は、コレクション対象となるコミック本、雑誌、トレーディングカード、コンサートポスターなどの鑑定と格付けを行う第三者機関としてのビジネスを展開して、これまでに600万件以上の鑑定評価を行っている。
■Certified Guaranty Company(CGC)
CGCの鑑定システムは、2人以上の専門家が高性能カメラを使いながらコレクションの真贋と品質をチェックして10点満点によるグレーティング(格付け)を行う。
さらに、希少性の高いコレクションには「ゴールド」、著名な収集家の所有歴があるコレクションには「イエロー」、修復歴のあるコレクションには「紫」といった、ラベルの色分けも行われる。
格付けとラベル分けが確定したコレクションは、固有のIDナンバーとセキュリティ用のホログラムが貼付された透明プラスチックのケースに封印される。このケースには、コレクションをミント状態で保護する目的があり、封印が解かれない限りは、格付けの点数が維持される仕組みになっている。そのため、所有者は封印後のコミックを直接触ったり、読んで楽しむことはできなくなるが、コレクション資産としての価値は上昇する。
■CGC鑑定、グレーティングの紹介映像
CGCのグレーティングで9点以上を取得していれば、非常に保存状態が良い、ほぼ完璧なコレクションであることを示し、かつ希少性が高いゴールドラベルのコレクションは、コミック1冊あたりが10万ドル以上で取引されている。具体例として、1960年代~1990年代にかけて米国で連載されたヒーロー漫画「X-Men」の創刊号は、CGCグレード9.8点のものに260万ドル(約2.8億円)の値が付いている。
CGCは、ヴィンテージコミックの価値をグレーティングとラベルの色で識別しやすくしたことで、コミックに詳しくない投資家でも、金融商品以外の代替資産として所有しやすくすることに成功した。ただし、コミックは人気の浮き沈みに相場が影響しやすいリスクもあり、キャピタルゲインを求めるだけのコレクションには適さない。自分の子ども時代に強く感動したコミックが、安値で購入できるのであれば、コツコツと収集していくような楽しみ方が良い。
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