AI査定で短期住宅買取りを実現させる米国バイヤー動向
米国は、日本よりも中古住宅の売買が活発に行われているため、売却の仕組みも進化している。その中で登場してきたのが、オンラインでAIによる物件査定を行い、最短1週間以内の現金化を実現させる「iBuyer」と呼ばれる買い取りサービスの業態である。
そのパイオニア的な存在が、2014年にサンフランシスコで創業した「Opendoor」という不動産テックの新興企業である。同社は、1960年以降に建てられた戸建住宅の買い取りと再販を専門に行っている会社だが、従来の不動産仲介取引よりも、中古物件の流動性を高める仕組みを構築している。
Opendoorでは、売却希望の家主からサイト経由でアップロードされる住宅の基本情報(築年数、家の状態、設備のリストなど)と、同社が収集した近隣エリアの不動産取引データから適正な買取価格(仮)をAIが算定して、2日以内に通知する。
その後、担当者から訪問またはビデオ電話があり、家の外観や内部を案内すると、屋根、床、壁、配管、電気設備などの劣化状況が診断されて、修理に必要な費用を差し引いた、正式な買取金額の提示が5~7日後に届く。そこで、金額に納得すれば契約成立となるが、不満あれば交渉をキャンセルすることもできる。反対に、劣化状況の激しい住宅であれば、Opendoor側で買い取りを断ることもある。
Opendoorのビジネスモデルは、できるだけ程度の良い住宅を買い取り、最低限の修理をした後に、次の購入希望者に再販することで、中古住宅の流通にかかる無駄なコストと時間を省こうとするものだ。そのため、物件を買い取り、再販を完了するまでの在庫保有期間も平均で約90日間と短い。
Opendoorでは取引コストの透明性を保つため、住宅の買取価格と手数料の収益体系を分けている。買取契約が完結するまでのサービス手数料として5%、決済手数料として1%の合計6%がかかる設定で、例えば、買取価格が25万ドルの場合には6%分が差し引かれると237,500ドル、そこから修理費用が引かれたものが、売り手が受け取れる金額になる。
一方、Opendoorが買い取りした中古住宅はエージェントを介さずに、購入希望者に対して直接販売している。買い手はサイト上で希望の物件を見つけた後、オンラインでバーチャルツアーを体験するか、アプリから家のロックを解除してセルフ内覧を行うことができる。購入者向けの住宅ローンも用意しているが、「ホームリザーブ」という独自の予約制度を設けているのが特筆すべき点である。
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