ECサイトの注文率を高めるレビューマーケティング
eコマースサイトへ集客は、サーチエンジン対策とオンラン広告によって行われることが多い。しかし、それだけでは新規の顧客をサイトに誘導できても、商品注文を完結させるコンバージョン率を高めることは難しい。そこで、ユーザーレビューをサイト内のコンテンツとして充実させる「レビューマーケティング」の手法が注目されている。
米国の大手ペットショップ「Petco」が運営するECサイトでは、ドッグフードを中心に6000種類以上の商品が販売されているが、それらすべての販売ページにレビュー機能が付いている。Petcoサイト全体では、150万件ものレビューが掲載されており、サイトを訪れた消費者が商品選定をするための指針として活用されている。
同サイトの分析によると、レビューが1件でも付いている商品は、レビューが無い商品よりも注文率が20%高く、レビューの件数が増えるほど、注文件数も伸びていく傾向が顕著にみられる。
このレビューボードはQ&A機能も兼ねており、購入を検討している消費者が、商品について不安な点を質問すると、商品購入者からの返答、またはPetcoのカスタマーサポートが回答を行う。それだけでは対応できない専門的な質問に対しては、製品メーカーの担当者が回答する連携体制も構築されている。このように、レビューボードをコミュニティとしても機能させることで、レビューの投稿数が増えていく仕組みになっている。
レビューボードの運用で懸念されるのは、ネガティブな意見が投稿されることだが、カスタマーサポート、またはメーカー担当者が適切な返信をすることにより、逆に商品の信用力を高めることも可能である。商品購入の検討をしている消費者にとって、ネガティブなレビューは有意義な情報であり、商品の欠点やクレームに対して、業者側の返信コメントが付くことは高く評価されている。
こうしたユーザーレビューの管理は、eコマースサイトの担当者がすべて人力で行うことは難しいため、レビューの掲載、管理、分析までを一括して行えるレビュープラットフォームを利用するのが一般的である。
PetcoのECサイトにレビュー機能を提供しているのは、「Bazaarvoice」というプラットフォームで、コメント文によるレビューに加えて、消費者が画像や動画で商品の使用感を伝えられる投稿機能や、レビュー投稿を商品購入者に限定できる機能、レビューに対して担当者が返信する機能も用意されている。
サイト内に投稿される膨大なレビューの管理は、AIの自然言語処理によりポジティブな評価、ネガティブな評価、回答が求められている質問などに分類・可視化されている。クレームが付いて炎上しやすいようなケースでは、アラートが通知され、サイト担当者が迅速な対応を取ることができる。また、レビュー件数を増やす手段として、商品購入者にレビュー投稿を促すメール送信ができる機能もある。
Bazaarvoiceは、独自運営されるECサイトがレビューマーケティングを展開するためのプラットフォームとして開発されている。同社の収益構造は、ECサイトの売上規模やレビュー投稿数に応じた月額料金を課金する方式になっている。
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