新型コロナの感染拡大以降、空気の汚染状況を気にする人は増えており、室内の空気に含まれる微粒子の濃度を測定できるIoTデバイスの注文が殺到している。 (JNEWSについてトップページ
コロナ禍で成長する空気品質管理のIoTデバイス市場

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JNEWS会員配信日 2020/6/22

 大気汚染が健康に与える被害は、戦後の高度成長期から指摘されてきたことだが、近年では各種センサーの普及によって、身近な空気の品質をデータとして可視化しやすくなっている。大気汚染の原因となっているのは、空気中に浮遊する超微粒子の存在で、自動車の排気ガスや、工場や建設現場から出る粉じんの他にも、花粉、黄砂、タバコの煙、室内のハウスダストなども含まれる。

このような空気品質のチェックは、IoTデバイスの進化によって個人でも測定が可能になっている。米サンフランシスコで2013年に創業した「Awair」は、住宅やオフィスなど、屋内空間の空気品質をモニタリングできるデバイスを開発する新興企業で、主力商品の「Awair Element」は、PM2.5、化学物質、二酸化炭素(CO2)、温度、湿度のレベルを測定することができる。測定された空気の状態は、モバイルアプリからグラフとスコア(点数)によって可視化することができる。価格は149ドルの設定で、新型コロナ流行後の注文が殺到している。



Awair社では、不動産事業者向けに「Awair Omni」という室内空気の管理システムも開発している。こちらの製品には、一般向けよりもハイグレードなセンサーが使用されており、PM2.5、化学物質、二酸化炭素(CO2)、室内光の強度、アンビエントノイズ(暗騒音)の7種類のデータがモニタリングできる。

オフィスビルで働く従業員の集中力を高める上で、これまでは「空気の質」をあまり意識してこなかったが、家具、内装の塗料、カーペット、芳香剤などから濃度の高い物質が出ていて、仕事の集中力を下げていることもある。こうした室内空気質の分析は「IAQ:indoor air quality」と呼ばれ、次第に重要視されるようになっている。

Awair社は、創業当初からIAQの調査研究を行っているが、今回の新型コロナにより、オフィススペースの全体的な需要は減少する一方で、健康に配慮したIAQの管理を適切に行っている物件の付加価値は高まり、該当物件の家賃相場は上昇すると予測している。

また、IAQのスコアを向上させるには、室内の湿度は40~60%となるように管理して、空調設備のフィルターは定期的に交換すること、給水管や排気口にもカビが発生していないことを定期点検することも重要になる。暖房、換気、空調設備の総称は、「HVAC(Heating, ventilation, and air conditioning)」と呼ばれるが、新型コロナやインフルエンザのウイルス感染の予防策として、HVACの管理メンテナンス分野も、今後の需要が伸びる市場とみられている。

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