未包装で量り売りをするバルクフードショップの業態
欧州では、スーパーマーケットチェーンでも、プラスチックフリー店舗の開発を進めているが、その方向性は、野菜、果物、肉、魚などの生鮮品は未包装のまま販売する、昔の八百屋に近い業態に回帰している。
プラスチックのラッピングや発泡スチロール容器の代替品を採用する方法も試されているが、従来よりも包装コストが高くなる上、商品の外観が見にくくなってしまうため、売上が減少するという結果も出ている。そこで、逆に「未包装(パッケージフリー)」としたほうが無駄なコストを削減して、エコフレンドリーな店舗としての付加価値を高めることができる。
このコンセプトを突き詰めると、消費者は過剰包装されたパッケージの見栄えではなく、商品の品質で店を選ぶようになるため、大手スーパーと小規模な食料品店とが同じ土俵で戦えるようになる。未包装の食材は鮮度や品質が重視されるため、重量あたりの単価は高いが、必要な量だけ購入できるため、食材の廃棄ロスが減り、結果的にはリーズナブルなショッピングスタイルになる。
量り売りの小売り形態は決して新しいものではなく、日本でも昔は個人経営の八百屋や精肉店で行われてきたものである。それがスーパーマーケットや量販店の普及により、大量生産・大量販売による安売りの時代へと移行していった。
しかし、日本も家族形態の変化や高齢化社会を迎えることとなり、消費者の生活スタイルが「大量販売」に馴染まなくなっている。単身者や夫婦二人の世帯では、健康に配慮された高品質の食材を少量だけ購入したというニーズが高まり、「バルクフードショップ」と呼ばれる、量り売りのビジネスモデルが見直されている。
カナダにある「Bulk Barn(バルクバーン)」は、1982年創業のバルクフードショップで、コーヒー、紅茶、パスタ、スパイス、キャンディー、スナック菓子、チョコレート、砂糖、サプリメント、ドッグフードなど、およそ4000品目の乾燥食材が量り売りの形態で販売されており、現在はフランチャイズ方式によりカナダ全域で275店舗を展開している。
Bulk Barnの店舗内では、各商品がケースの中にストックされているため、顧客が希望の商品を必要な分量だけ、持参したガラスビンか、備え付けの袋にセルフで詰めて、レジで精算する方式になっている。バルク売りのため、商品ケースには成分と重量あたりの単価が表記されているだけだが、試食をして購入する商品を決めることもできる。広告宣伝費にもコストをかけない分、品質には拘っており、商品毎に「非遺伝子組み換え」「オーガニック」「ビーガン」「乳製品フリー」「ピーナッツフリー」などの表示もされている。
バルクフードショップは、アナログなビジネスのように見えるが、 Bulk Barnの内部ではハイテク化された商品の受発注~在庫管理が行われている。量り売りの食材は、世界の食品生産者や工場と直接契約する形で調達されている。各商品の売上データから、適正な在庫量が管理されており、廃棄ロスを最小限に抑えることで、従来型のスーパー店舗よりも高い利益率が維持されている。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・ペットボトル飲料の代替サービス開発
・マイボトルユーザー向け給水ステーション
・プラ容器を使わない英国スーパーマーケット
・八百屋に回帰する食料品量り売りビジネス
・バルクフードショップのビジネスモデル
・消耗品メーカーの脱プラ容器ビジネスモデル
・ファストファッションに問われる廃棄衣類問題
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・JNEWS LETTER 2020.1.25
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