P2P保険は、同じ保障内容を求めている 仲間が集まり、保険料を積み立てていく。グループ全体で保険金の支払いが無かった場合には、積み立てた金額が翌年に繰り越されるため、従来よりも保険料負担を軽減できる(JNEWSについてトップページ
仲間と保険料負担を軽減するP2P保険の仕組みと効果

JNEWS
JNEWS会員配信日 2019/8/1

17世紀に発案された保険の起源は、仲間同士がグループを作り、病気やケガで働けなくなったり、事故が起きた時に支え合うための互助制度として生まれたものである。しかし、現代の保険会社は巨大化しすぎて、無駄な販売経費を使いすぎている。そこで原点に立ち戻り、小グループの中で組成される保険システムが世界で開発されてきている。これは、P2P保険やソーシャル保険と呼ばれ、保険業界全体を変革する可能性を秘めている。

P2P保険の基本的な仕組みは、プラットフォームの中でグループ(コミュニティ)形成されて、同じ保障内容を求めている仲間が集まり、各自が保険料を積み立てていく。集金された保険料は、再保険会社に委託される形で運用され、事故や怪我や起きた時には、定められた保障内容が支払われるものである。

ユーザーがP2P保険に加入する最大の利点は、医療保険や自動車保険のように、従来は“掛け捨て”が常識だった保険分野でも、年間トータルで集計した保険金の支給額が少なければ、還付金が受けられることである。最大では50%もの還付金が払われることもあり、大手の保険会社で掛け捨て保険に加入するよりもメリットが大きい。

P2P保険でグループ単位が形成されるのは、仲間との交流が生まれる中で、健康や安全への意識が高まり、病気・事故の発生率を減らしたり、保険金の不正請求を防ぐ目的がある。日本では、江戸時代に組成された「五人組制度」をイメージするとわかりやすい。一方、P2P保険のプラットフォーム会社は、各グループから集金される保険料の一定率を、運営手数料として徴収することが主な収益源なっている。

《P2P保険の基本的な仕組み》

【グループ加入を仲介するP2P保険】

 P2P保険(ソーシャル保険)が発案されたのは、通常の保険商品は、保険金を請求したことの無い人が大多数でありながら、高い保険料を払い続けている状況を改善したいという考えによるものだ。ドイツで2010年に創業した「FriendSurance(フレンドシュランス)」は、P2P保険の仕組みを開発したパイオニア的な存在で、現在は10万人を超す顧客を獲得している。

同社が提供しているのは、自動車保険を中心とした各種の損害保険で、10~15名のグループで加入することが条件になっている。グループのメンバーは、家族や親戚、友人同士、会社の同僚など、身近な仲間を集めれば良い。各メンバーが支払う保険料は、FriendSuranceの子会社と、提携先保険会社の2口に分けて管理されている。少額の補償は子会社から支払われるが、大きな事故の補償については保険会社が担当する役割分担になっている。

FriendSuranceは、15社以上の保険会社と提携しており、保険契約をグループ単位で取りまとめて仲介する、保険ブローカーの役割でもある。そして、1年間を通して保険金請求やクレームの申し立てが無いグループに対しては、支払った保険料に対して最大40%のボーナスが支払われる。さらに、翌年以降の保険料も安くなる仕組みだ。

保険会社にとって、FriendSuranceは加入者を紹介してくれる得意先であり、グループ内の仲間同士で「保険料を安くしたい」というモチベーションが働くため、保険金の不正請求を抑止できるメリットがある。自動車保険業界では、支給される保険金の1割程度が不正請求によるものとみられるため、それが軽減できるだけでも、保険料を引き下げられる要因になる。

Friendsurance

《FriendSurance保険仲介の仕組み》

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