月額サブスクリプションで乗れるマイカー所有形態
カーシェアリングの利用が思ったほど伸びない理由としては、自動車の専用使用権が得られないことに不便さを感じている点がある。カーシェアリングの利用には事前予約が必要で、返却予定の日時も決められている。また、所定の駐車ステーションまで行かなければならないことも、マイカーの代わりとして利用するのには不便だ。ユーザーとしては、車両の予約時間に自分の行動を合わせるのではなく、随時変更されていく自分のスケジュールに適応するように車両を使いたい。
そこで米国では、レンタルではなく、1ヶ月単位でマイカーを所有できるサービスが急成長してきている。2016年にロサンゼルスで創業した「Fair.com 」は、月額固定額のサブスクリプション型により、新たなマイカーの所有形態を提供するスタートアップ企業で、同社のサイトには、3000社以上の自動車販売業者と提携する形で、月額150ドル~の予算で利用できる中古車の在庫が2万台近く掲載されている。
この月額価格には、車両本体に加えて、定期的なメンテナンス費用(オイル交換やタイヤ代など)、保険料金までが含まれている。スマホアプリから簡単に購入手続きができるのも特徴で、まとまった資金を用意できない若者でも、申し込みから最短3日間程度で、希望するマイカーに乗れるのが魅力だ。
顧客との間では、リース契約が交わされるため、車両の所有権はディーラー側が保有することになるが、ユーザーには専用の使用権が与えられるため、レンカーのように、車両をその都度返却する必要は無い。そして、車に飽きてしまったり、使う必要が無くなった時には、5日前に連絡をして返却するか、次の車に乗り換えることができる。月額150ドルで利用できるマイカーは、走行距離が6万キロ近いコンパクトカーだが、月額料金の予算を200ドル、250ドルと上げていけば、選択できる車のランクも上がっていく。
Fair.comでは、申し込みユーザーの審査からリース契約の諸手続を、ディーラーに代わってモバイルアプリ上で行い、月額利用料金の中から管理手数料を徴収するビジネスモデルになっている。同社に対しては、Uberがパートナー提携をしており、マイカーを持っていないが、ライドシェアの仕事で収入を稼ぎたいユーザーに対して、1週間あたり130ドル(走行距離無制限、整備費、車両保険付き)で使用できる、ライドシェア向け車両も提供している。また、2018年12月にはソフトバンクもFair.comに対して3億8,500万ドルの出資を行っている。
■Fairサービスの紹介映像
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