社員の潜在能力・スキルを引き出すゲーミフィケーション
JNEWS会員配信日 2019/8/27
これまでの企業は、従業員のパフォーマンスを測定する手法として、日次や月次の営業成績をエクセルシートで集計することが定番であり、それが中間管理職（係長や課長）の役割でもあった。しかしこの方法では、数値で管理されている従業員側のプレッシャーは強くなり、自発的な努力や工夫で成績を伸ばそうとする柔軟性が生まれない。これをゲームの魅力により改善しするのが、ゲーミフィケーションの目的である。
たとえば、運送会社がトラック運転手に安全運行と収益性向上の意識を高める方法として、ゲーミフィケーションは有効であることが実証されている。米ユタ州にある冷蔵運送会社のCR Englandでは、各ドライバーの安全性、燃費、定時運行率、総運転時間、クライアントからの評価などをポイント化して、高得点者には賞品が与えられるゲーミフィケーションアプリを開発したところ、交通事故の減少、燃費の改善、接客態度の向上効果が確認されている。
燃費については、アイドリング時間の短縮、シフトタイミングの最適化、タイヤの空気圧調整などを各ドライバーが意識するようになり、全体で15％以上の燃料費削減に成功している。このように、重要指標の達成度を測定、評価することは「key performance indicator（KPI）と呼ばれるが、ゲーミフィケーションとの相性が良い。子どもがビデオゲームでハイスコアを獲得するのに夢中になる習性を、仕事にも応用したのが、ゲーミフィケーション化された業務アプリである。
「Stay Metrics」は、トラック業界を専門とした、ドライバー向けの満足度調査と、ゲーミフィケーションの報酬プログラムを提供している会社で、無事故を継続する走行距離、交通違反をしない期間、急ブレーキの回数、オンライントレーニングの受講歴、仲間（ドライバー求職者）の紹介などを重要指標としたスコアを測定して、賞品や旅行と交換できる専用サイトの構築を、運送会社向けに行っている。
米国の運送業界では、入社から１年未満で退社するトラック運転手の離職率が73％と非常に高く、在職期間が90日に満たない者も38.8％となっている。長距離ドライバーの仕事は、長期で家を空けることが多く、体力的にハードなわりに、給料は安いことが人気低迷の理由だ。そのため運送会社は、新人ドライバーが楽しみながら運転技術を高め、日々の仕事の取り組める仕組みとして、ゲーミフケーションの導入には期待をかけている。
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