携帯会社のように毎月の請求業務 を行う企業では延滞者に対する督促業務が大きな負担になっている。それをAIエージェントによって自動化させるシステムをドイツの企業が開発している(JNEWSについてトップページ
請求業務と延滞回収を行うAIエージェントの開発市場

JNEWS
JNEWS会員配信日 2018/11/9

 延滞されたまま未回収になっている請求書の債権は予想以上に多い。たとえば、携帯電話の料金は、未払いのまま数ヶ月経過すると回線は強制解約となり、すべての通信サービスを利用できなくなる。その後も、未払いの料金は延滞債権として残るため、放置したままにしておくと、信用情報機関のブラックリストに登録されてしまうことがある。

これは、携帯電話やスマートフォン端末を分割払い(クレジット契約)で購入しているケースで発生するが、携帯会社は延滞顧客に対して、原則として直接的な督促行為は行わないため、顧客側にしてみると「いきなりブラックリストに登録された」という事態が起きる。

ブラックリスト登録された顧客は、クレジットカードが使えなくなったり、住宅ローンが組めなくなったりする等、深刻な社会的ダメージを受ける。一方、携帯会社側も、顧客を失うことになるため、両者にとって最善の解決方法ではない。
そこで、延滞初期の段階で、会社と顧客がプライバシーに配慮ながら円滑なコミュニケーションをして、支払い窓口へと誘導できる仕組みを作ることが、日本でも今後の課題になる。

《携帯会社の延滞管理フロー》

2016年にドイツのeコマース企業「Otto(オットーグループ)」の子会社として設立された「CollectAI」は、AIが顧客とのフレンドリーな関係を維持しながら、請求業務と延滞管理が行えるプラットフォームを約40名のチーム体制で開発している。

従来の督促業務では、発送済みの請求書を顧客が確認していなかったり、長期の滞納に対して「延滞遅延金」が加算され、請求額が高額になり、払う・払わないのトラブルが生じたまま不良債権化していくケースが多い。

そこで、CollectAIの人工知能エージェントは、延滞者に対しても、不当な遅延金などは加算しない公正な請求額を確定した後、電子メールの他にも、ショートメッセージ(SMS)やチャットなど、現代の消費者が使い慣れているツールを使い分け、延滞の状況や入金期限日の通知を行ったり、分割払いの相談などにも応じることができる。

その際にも、メッセージを送信する時間帯や通知の回数は、顧客に不快感を与えないようにAIが最適化しる。また、メッセージを受信した後のダイレクトな入金がしやすい手段として、スマホから数回のクリックでクレジットカード払いができる決済機能も用意されている。電子メールやショートメッセージ(SMS)が届かない顧客に対しては、郵便による通知を行うが、その場合にも書面にはQRコードを記載して、オンライン決済のWebページへと誘導している。

毎月の請求業務を行う企業では、CollectAIを導入することで、紙の請求書発行枚数を大幅に軽減することが可能で、同システムが公表している実績値では、89%の経費削減と、未収金の回収率を24%高められる効果がある。

欧州では、請求書を顧客が見ていない、または入金を忘れている、など安易な理由から、請求書の有効期限までに入金がされない割合が23%もあるという事実があり、再請求や督促にかかる作業は、小売業業やサービス業者にとって大きな負担になっている。この潜在的な悩みに基づき、CollectAIは開発されている。

collectAI
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