NOハラスメントの風潮が高まる中、ハラスメント対策セミナーの市場が伸びている。米国では企業に対してハラスメントの知識を高める社内セミナー実施を法令化する動きが加速。それに伴いハラスメント対策専門家へのニーズが高まっている(JNEWSについて
法令化されるハラスメント対策セミナーの成長市場

JNEWS
JNEWS会員配信日 2018/5/30

 米国でも、ハラスメント対策の正しい知識やノウハウを持たない企業は多いため、人事部向けのセミナーやオンライン教材の需要が高まっている。社内で対策が必要なハラスメントとしては、性的に不快な行為や嫌がらせをするセクハラの他にも、上司が部下に対して威圧したり、出身地や家庭環境、人種や国籍による差別的な発言なども含まれる。たとえば、採用面接の中で、以下のような質問をすることも、米国では違法となる。

《採用面接で聞いてはいけない質問例》

  • 年齢は何歳ですか?
  • あなた結婚していますか?
  • 配偶者の年齢、職業は?
  • 子どもはいますか?(今後の計画はありますか?)
  • 前勤務先の給料はいくらでしたか?
  • 体重や身体のサイズを教えてください。
  • 精神または身体上の制約や障害はありますか?
  • 信仰している宗教は?
  • 母国語は英語ですか?国籍は?

米国のハラスメント対策市場は、法律に準拠する形で形成されているのが特徴で、州によってもルールは異なっている。カリフォルニア州の場合には、50名以上の従業員がいる会社は、監督業務に関わるすべての社員に対して、2年に1回の頻度で、米雇用機会均等委員会(EEOC)のガイドラインに沿ったセクシャルハラスメント研修(1回2時間以上)を実施しなくてはいけない規則になっている。研修を実施せずに、社員からのセクハラ告発が起きれば、会社側の重大な責任が問われることになる。

AB-1825 Sexual harassment(カリフォルニア州)

そのため、カリフォルニア州内にオフィスを置く企業では、外部のハラスメント専門家を招いた社内セミナーを開催するか、eラーニング方式によるオンラインセミナーを受講させている。すべての管理職社員が受講の対象となるため、ハラスメント対策の研修事業だけでも大きなビジネスになっている。

外部の専門家を社内に招いてセクハラ対策セミナーを開催する場合の費用は、1日あたりで1,000~3,000ドル(約11~33万円)が相場だ。大企業が管理職全員にセミナーを実施するには1日では足りないため、年間で数十万ドルの費用をかけている。

それだけの費用をかけられない中小企業の場合には、eラーニング教材を利用することになるが、こちらは1ヶ月あたり200ドル前後の料金で提供されている。

The Management Association(MRA)」は1901年から続いている、中小企業や地域の商工会議所に対して、各種の労務管理や福利厚生のプログラムを提供している団体だが、近年ではハラスメント対策にも力を入れており、オンラインで受講できるeラーニング教材を開発している。

このオンラインコースは、イリノイ州、アイオワ州、ミネソタ州、ウィスコンシン州のハラスメント対策ガイドラインに準拠した内容で、受講料金は、教材にアクセスできる日数によって、30日間のコースが会員企業195ドル(非会員255ドル)、365日間のコースが会員企業 895ドル(非会員1,150ドル)の設定。社員1名単位ではなく、1組織あたりのライセンス体系となっているため、ハラスメント対策のオンライン教材としてはリーズナブルな設定といえる。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

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