IoTで風速、温度、気圧などを測定できる気象ステーションは、突発的な異常気象を察知するためのツールとして期待されている。(JNEWSについて
異常気象を察知するIoT気象ステーションのビジネスモデル

JNEWS
JNEWS会員配信日 2018/10/24

 個人が自宅に気象観測設備を設置することは、一部の気象マニアからスタートしたものだが、異常気象を事前に察知することを目的とした、IoT系新興企業のビジネステーマに成長してきている。

2012年にウィスコンシン州マディソンで操業した「Understory」は、高精度で耐久性の高い気象観測ステーションを開発している新興企業である。家庭用テレビアンテナと同サイズの気象観測ステーションには、各種の気象センサーが組み込まれているが、部品点数が少なく、太陽光発電で稼働するために、屋外の過酷な設置条件でも5~7年はメンテナンスフリーで1秒間に3,000回以上のデータ観測をすることができる。



Understory社のビジネスは、この気象観測ステーションを市販するのではなく、独自に観測地点のネットワークを広げていくことで、地域を絞り込んだ超ローカル気象情報を企業や自治体に対して販売することにある。その中でも、主な顧客ターゲットとしているのが、保険会社と農業である。

同社の気象ステーションは、風速、温度、降水量などに加えて、独自開発の特許技術により、雹(ひょう)の観測がリアルタイムで行えるのが特徴。テキサス州とコロラド州は、米国で最も雹が降りやすい地域で、保険会社は自動車の雹被害に対する保険金の支払い負担が大きい。そこで、Understoryの気象予測により、各地区で雹が降り始めるタイミングを察知できれば、保険加入者に対して車両の避難を促すアラートメールを送信することで、被害額を軽減することが可能になる。

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住宅の被害についても、観測された雹の大きさと風向きなどから、地域別の被害額を算定することに役立つ。屋根の材質や構造によっても雹によるダメージは異なることかから、保険会社は適正な保険料ランクの設定をして、保険加入者との信頼関係を築くことができる。

■Understoryのよる雹観測の解説映像

また、農業分野ではモンサント社との提携により、アルゼンチンのトウモロコシ栽培地域で気象ステーションのネットワークを構築して、正確な気象データに基づいた、作物の栽培~収穫計画を立てるプロジェクトを進めている。除草剤メーカーのモンサント社は、害虫に強い遺伝子組み換え作物の開発にも注力しているが、遠隔から農地の気象データを管理して、種子生産の効率を高めようとしている。

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