Z世代から支持される新興ブランドの販促手法
世界的に知名度のある大手メーカーの中でも、Z世代に対するマーケティングノウハウは模索中の段階だが、創業して間もない新興メーカーの中では、Z世代から絶大な支持を受けて急成長を遂げているブランドもある。
2013年に米ニューヨークで設立された化粧品メーカーの「Glossier(グロッシアー)」はその1つで、女性創業者のエミリー・ワイス氏(32歳)は、ニューヨーク大学でスタジオ・アートの学位を取得した後、ファッション誌「ヴォーグ」のスタイリング・アシスタントを経て、月間アクセスが1000万ページビューを超す美容系ブロガーとして活躍していた人物である。ティーンエイジャーでも気軽に購入できる価格帯で、かつ消費者が求める製品をブログユーザーと対話しながら開発したことが、同メーカーのルーツになっている。
Glossierのビジネスは、ユーザーからニーズの高いナチュラル志向の商品にアイテム数を絞り込み、広告宣伝やブランド構築にかかるコストを極力抑えることで、大手メーカーよりも大幅に安い価格帯(12~60ドル)で、商品をネット直販することにある。商品のプロモーションにはSNSが活用されており、同社のInstagramアカウントには120万人、Facebookでは20万人のフォロアーを獲得している。
Glossierでは、同社の熱心な顧客に対して無償の試供品を送付して、SNS上で商品レビューを投稿することを推奨している。その中では、特別な紹介リンクが提供されており、SNS上の友達がリンクを通して、最初に Glossier社の商品を購入すると、20%の割引料金が適用され、投稿者に対しても10ドルの紹介料が支払われる報酬プログラムが設定されている。こうして、インフルエンサーを増やすことにより、無駄な広告宣伝費をかけることなく、新規顧客を増やすことに成功している。
Z世代の買い物スタイルは、オンラインだけでなく、実店舗も有効に活用しているのが特徴で、スマートフォンとの連携が強化された店舗ほど、来店数は高くことが各種の調査から明らかになっている。そのため、これからの小売業者は、オンラインとオフラインで多様な販路を作るオムニチャネル化が欠かせない。
実店舗向けにオムニチャネル決済のプラットフォームを開発しているAcapture社のレポート「Future trends inconsumer behavior」によると、Z世代の消費者を店舗に呼び込むために有効な手段として、オンラインで注文した商品を店舗で受け取れる「クリック&コレクト(返品)」を挙げている。商品を受け取りに来店した消費者の40%は、店内で別の商品も追加購入をする特性がある。
また、購入した商品がイメージと違ったり、サイズが合わなかった時には、気持ち良く返品に応じる「クリーンリターン・マネジメント」にも、店側のメリットがある。返品のために来店した顧客の95%は、その店で別の商品を買い直しているためだ。このような、face-to-faceの対面サービスは、オンラインだけでは築けないブランドイメージの向上に役立ち、固定客を増やすことに繋がる。
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