高級品コレクションを担保にした金融業と資産管理サービス
シャネル、エルメス、ルイ・ヴィトンなどの高級ブランド品は、質屋や買い取り専門店に行けば、すぐに現金化することが可能だが、買い取り価格は安くなってしまう。ネットオークションは、それよりも高値で売却できる可能性があるが、商品が本物であることを証明して、高額の取引を成立させるまでには苦労が伴う。
そこで、買い取り業者とオークションの隙間を埋めた、ブランド品の委託販売ビジネスが成長してきている。米国で2011年に創業した、「The RealReal(リアルリアル)」は、高級ブランドのバッグ、靴、時計などを所有者から預かり、鑑定士が査定して、相場からみた適正な販売価格を決めた後、プロのカメラマンが写真撮影をして、オンライン上で販売するサービスを展開している。
販売マーケティングでは、300万人以上の会員顧客を獲得していることが強みになっており、なかなか売れない商品については、フラッシュセールなどで売りさばくノウハウも持っている。
出品者の査定~販売にかかる初期費用などは無く、商品が売れた際に販売価格の60~95%が所有者に支払われ、残りの金額がリアルリアル側の委託手数料となる。
同社のサイトで扱われるブランド品は、本物であることの鑑定保証が付くため、ネットオークションよりも信頼性が高い。また、既にメーカー販売が終了している、人気ブランドのリセール品(中古品)は、希少価値からプレミアが付き、新品よりも高額でも買い手が付くものが少なくない。しかも、同社が在庫を抱えるわけでないため、従来のブランド品ビジネスよりも利益率は高いのが特徴だ。
The RealRealは日本向けのサービスも行っている。
■The RealReal(米国)
■The RealReal(日本)
【富裕層をターゲットとしたオンライン質屋】
モノを担保の資金を融通する金融業者として、「質屋」は古くからあるが、長年続いた不況により、経営は厳しくなっている。一般の消費者は、質素な生活をするようになり、質草になるような高価な物を所有しなくなってしまった。
ただし、取り扱う商品を「ブランドバッグ」「高級腕時計」「貴金属」などに絞り込み、ネットで遠方からの査定も受け付ける、新タイプの質屋には顧客が集まっている。質入れをすることで、商品のクリーニングや点検をしてもらうことができ、しばらく保管してもらうか、そのまま買い取ってもらうかを決めれば、オークションに出品して換金するよりも便利だからだ。
銀行では、不動産や有価証券以外の担保では融資をしないため、モノを担保して資金が借りられる「質屋」のビジネスモデルは、新たなオンライン金融サービスとしての可能性も秘めている。
それを具現化しているのが、米国の「Borro」という新興企業で、高級品を担保にしたオンライン融資サービスを事業化している。
融資の担保として受け入れるのは、「鑑定書付きの宝石」「高級時計」「高級車(クラシックカーも含む)」「ブランドバッグ」「高級ワイン」など、いずれも“資産”としての価値があるものの、銀行では担保として受け付けていない物品である。
《Borroが受け入れる担保品の例》
- 宝石、貴金属
・カルティエ、ヴァンクリーフ&アーペル、ティファニーなどブランド品
・鑑定書付きのダイヤモンド、サファイア、ルビーなど
・10k、14k、18k、22kのゴールドを素材としたアクセサリー - 高級時計
・ロレックス、パテックフィリップ、フランク・ミュラーなど
・希少性が高い限定生産品、人気メーカーのヴィンテージ品は高評価 - ファインアート&アンティーク品
・クリスティーズ、サザビーズなどでの評価される美術作品
・有名メーカーのヴィンテージ楽器
・歴史的な書籍のコレクション - 高級車
・フェラーリ、ランボルギーニ、ベンツ、ポルシェなどの高級車
・クラシックカーとして評価される車 - 高級ハンドバッグ
・エルメスとシャネルのハンドバッグのみが対象
・オリジナルボックス、ダストカバー、領収書、真正カードがあれば高評価 - 高級ワイン
・ボルドー五大シャトーなどの高級ワインが対象
・保存状態が良好なもの
・保管の履歴やワイン専用セラーに保管されているものは高評価
・購入先(オークション、ワイン商人、コレクター等)の証明があるもの
これら高級コレクションのオーナーは、オンラインまたは電話で査定の依頼をすることで、現在の価値(見積売却価格)が算定されて、最大70%までの融資を受けることができる。商品の査定には、社内の鑑定人と各分野の専門鑑定員のネットワークが形成されている。
融資の用途としては、コレクションを担保に短期で資金を借り入れたいケースや、次のコレクションに買い換えるための資金繰りとして、売却先が決まるまでの“つなぎ融資”として利用するケースもある。同社はコレクションの売却代行も行っており、高級品の総合的な資産管理サービスを目指している。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・買い取り・換金ビジネスの現状と問題点
・高級ブランド品のオンライン換金ビジネス
・ブランド品委託販売ビジネスの仕組み
・富裕層をターゲットとしたオンライン質屋
・身近な資産を管理するプラットフォーム
・ネットの売買履歴から分析できる資産評価ビジネス
・破産しても手元に残る財産の特徴と種類
・急増する空き家対策ビジネスとセカンドハウス投資
・偽物オンライン取引を排除する鑑定ビジネス
・アジア富裕層が保有する資産特性とキャピタルフライト
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.5.14
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