JNEWS会員配信日 2013/4/20
事例:Crunchyroll 他
ストリーミングTVの形態が登場してきたことにより、電波や通信回線のインフラを持たない企業でも、テレビ事業に参入することが可能になってきた。視聴者の興味・関心も細分化しているため、ニッチな番組分野に絞り込んだり、グローバルな放映権さえ獲得できれば、国境を越えたテレビ配信も実現できる。
「Drama Fever(ドラマフィーバー)」は、2008年に、ニューヨーク在住の韓国人起業家が、米国でも韓国の番組を見られるようにしたいと考えたのがキッカケで立ち上げられたストリーミングTVで、現在は1万3千本以上の韓国や台湾の番組に、英語の字幕を付けて配信している。
利用体系は、広告付きで無料視聴できるものと、月額 9.99ドル(または1年間99.99ドル、3年間 269.99ドル)の有料コースがある。無料コースで視聴したユーザーの中から、無制限に番組を視聴できる有料コースへと誘導するマーケティングが展開されている。
当初は、在米の韓国人を顧客層と想定していたが、実際には米国人の視聴者が多くて、「Hulu」とも提携する形で番組の配信網を広げている。また、スペイン語の字幕を付けて、南米向けにも配信されている。
これらの番組コンテンツは、12ヶ国で60のパートナー会社(韓国、その他の番組著作権を持つテレビ局など)と提携を結び、有料配信から得た収入を分配する方式のライセンス契約を結んでいる。
「Crunchyroll(クランチロール)」は、日本のアニメ作品を、英語圏の視聴者向けに配信しているストリーミングTVとして、20万人以上の有料会員を獲得している。料金体系は、広告付きで番組を視聴するコースが月額6.95ドル、広告無しの視聴コースが月額11.95ドル。
Crunchyrollは2006年の創業、もともとはアニメ専門の動画投稿サイトとしてスタートしたが、当初は、個人ユーザーから違法に投稿された作品が多くて、著作権上の問題を抱えていた。
しかし、2008年には、テレビ東京から75万ドルの出資を受けて“株主”になってもらうことにより、日本アニメ業界からの信用を獲得し、多数のアニメ作品を合法的にストリーミングするライセンスの取得に成功している。
現在では、テレビ東京で放映されたアニメ番組が、その日のうちに、同サイトでも配信されるようになっている。また、配信した番組のデータが、他のサイトへ違法に投稿されていないかチェックする機能を設けることで、著作権者との信頼関係を維持している。
■この記事の主な項目
●ケーブルテレビの顧客を奪取するIPTVの動向
●コンテンツ力で急成長するストリーミングTV
●ニッチな海外番組を配信するストリーミング事業
●番組放映権獲得の裏にある業界構造
●ストリーミング動画を支える字幕翻訳の仕組み
●最速で多言語にローカライズするビデオ翻訳サイト
●アーティストとリアル店舗を融合させるストリーミング事業
●数十万人が学習するオープン教育サイトの実力と収益モデル
●韓国ゲームの日本語化ビジネスにみるライセンス権の価値
●ライセンス管理で何倍にも伸びるクリエイター作品の価値
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2013.4.20
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