JNEWS会員配信日 2010/4/20
事例:RDNY.com
不動産賃貸で収入を得るには、まず第一に「入居者を獲得するためのノウハウ」を習得することが重要。いまではネットからの集客が容易なため、不動産業者を介さなくても入居者を募集できるはずである。
ところが日本では、個人の大家が物件の掲載を不動産情報会社に依頼しても、直接は受け付けてもらえずに、その情報ネットワークに加盟している最寄りの不動産業者を紹介されるような業界構造になっている。これは、もともと紙の情報誌からスタートしている不動産情報会社が、加盟業者との関係を崩したくないためとみられる。
一方、米国に目を向けると、物件オーナー自らが、物件管理の指揮を執り、自分に足りない部分だけ専門家の助けを借りるスタイルが主流で、何もわからないままに、すべて“お任せ”してしまう日本の大家業とは異なっている。個人の物件オーナーが入居者を見つける方法として、以前は新聞の三行広告などが利用されていたが、最近ではネットからの集客がしやすくなったために、マイホームの住み替えなどで、使わなくなった住宅を賃貸する副業も手掛けやすい。
賃貸物件をデータベース化して掲載する情報業者のことは「レンタルアパートメント・インフォメーションベンダー(AIVs)」と呼ばれており、大小様々なサービスが存在している。物件オーナーはその中から、自分の地域に強い集客力を持つ業者を選定して物件情報を掲載するが、その料金(広告料)は、月額 100ドル前後が相場である。
「RDNY.com」はニューヨーク地域を専門としたAIVs業者で、年間で20万人ものアパート入居希望者が同サイトから物件を探している。もちろん、入居希望者は無料で物件の検索〜問い合せをすることができ、同サイトは物件オーナー側から、60日間で139〜199ドルの掲載料を徴収するビジネスモデルだ。
AIVsの利用は、物件オーナーが安価なコストで入居者を獲得できるのが利点だが、それよりも恩恵を受けているのは、じつは入居者のほうである。というのも、従来は、入居者が賃借契約をする時には、不動産業者に対して仲介手数料(家賃の1ヶ月分)を払う必要があった。しかしAIVsの登場により、物件オーナー(大家)との直接取引ができるようになると、その手数料分を節約することができる。
《賃貸アパートの直接取引モデル》
●アマチュア扱いされる日本の大家さん達
●不動産管理会社のビジネスモデルと、その弊害
●大家を“素人”として扱う日本の不動産業界
●仲介取引から直接取引へ変わる賃貸ビジネス
●レジャーと実益を兼ねたバケーションレンタル
●タイムシェアによる分割販売の仕組み
●眠れるレンタル資産を掘り起こす視点
●開拓される個人レンタルビジネスの市場
●レンタル取引市場のビジネスモデル
●眠れるモノ資産の価値を再生する新卸売りビジネスの役割
JNEWS LETTER 2010.4.20
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