スポーツをしながら楽しくダイエットができて、友達作りにも役立つ「ソーシャルヘルスゲーム」は、子ども向け、大人向けの市場それぞれで開発商機が見込める。「Zamzee」は身体にセンサーを付けながら遊ぶことで、運動量を計測することができる。 (JNEWSについてトップページ
運動不足を解消するソーシャルヘルスゲームの開発視点

JNEWS
JNEWS会員配信日 2012/10/11
記事加筆 2021/9/4

 米国の健康・栄養調査によると、「肥満」に該当する子どもは全体の17%という割合で、40年前よりも3倍以上に増えている。その理由としては、カロリー過多の食事や、テレビゲームやインターネットなどで、家に籠もっている時間が増えたことがある。子どもの健康問題にとって、「ゲーム」は悪者になることが多いが、「Zamzee」のように、運動センサーを付けて屋外で遊ぶタイプのソーシャルゲームならば、親からの支持も受けやすくなる。

「Zamzee(ザムジー)」は、子どもの肥満改善を目的としたソーシャルゲームで、専用の歩数センサーを付けてスポーツをしたり、遊ぶことにより、日時別の運動量をゲーム上にアップロードすることができる。ゲーム内には各ユーザー(子ども)のアバターが表示されて、運動量を競い合うことができ、目標を達成すれば、親がギフトカードなどの報酬を与えられるようになっている。

こうした運動への動機付けにより、Zamzeeを利用している子どもは、普通よりも運動量が30%以上増えることが報告されている。肥満気味の子どもに対して、無理に運動をさせるのではなく、モチベーションを刺激することで運動量を増やそうとする手法だ。

Zamzeeに参加するには、専用の歩数センサー(29.95ドル)を購入することが条件で、ファミリーで運動量を競いたい場合には、家族分のセンサーを購入する必要があるが、それ以外の月額会費などはかからない。

Zamzeeの収益源は、この歩数センサーを販売することの他に、目標の運動量を達成した場合に、親が子どもに与えるギフトの販売、子ども向けの健康キャンペーンを実施したい企業からのスポンサー料などを柱にしようとしている。


■ソーシャルゲームの紹介映像

【ソーシャルヘルスゲームのビジネスモデル】

 ソーシャルゲームを、健康プログラムとして活用しようとする動きは、欧米で広がっており、ゲーム開発を手掛ける企業にとっても、新たな商機となっている。
従来のゲームに比べると、ソーシャルヘルスゲームは「健康」という目的がハッキリしていることから収益の柱を作りやすい。

考えられる収益としては、「(1)運動量を測定・記録できるデバイス(万歩計など)の販売」「(2)ゲーム利用の会費やライセンス料」「(3)目標を達成した際に贈る賞品やポイントの販売」などがあるが、特に(3)の市場は潜在的に大きいとみられている。

運動の目的を達成した子どもに対して、親が購入したポイントを与えて、欲しい賞品と交換できるようにしたり、企業が子ども向けの健康キャンペーンを開催して、トレーニングに励んだ子どもにポイントを与える方法の他、「Keas」のように従業員向けの報酬プログラムもある。

実用的な価値の無い、ソーシャルゲームの仮想アイテム販売には、社会的な批判の声も大きいが、運動を頑張るモチベーション作りとしてのポイント発行であれば、有意義な仕組みとして支持されやすい。※追記:Zamzeeは、健康管理アプリ「Keas」を開発するWelltokが2015年に買収されている。買収額は明らかにされていない。

《ソーシャルヘルスゲームのポイント発行モデル》

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