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ジャズ界の有名アーティストを支える
パトロンプラットフォーム
written in 2013/1/16
事例:ArtistShare

 クラウドによる資金調達と相性が良い業界の一つに「音楽業界」がある。近年はCDが売れなくなったが、幸いなことに、今でも熱心な音楽ファンは多数いて、情報収集がしやすくなったことで、特定のジャンルやアーティストを支持するコアなファン層は、逆に増えている。

2003年からスタートした「ArtistShare(アーティストシェア)」は、音楽アーティストが資金集めをするためのサイトで、ジャズ界で著名なプロ・アーティスト達の音楽レーベルとしても成り立っており、この中からはグラミー賞の受賞作も生まれている。

同サイトの所属アーティストが新アルバムを制作する際に「Chamber Works」というプロジェクトをサイト上に公開する。その中では、楽曲のレコーディングを資金面でサポートしてくれる出資者を募集するが、出資額に応じた魅力的な特典を与えている。

自己のジャズ・オーケストラを率いる形態で、2004年と2007年にグラミー賞を獲得しているマリア・シュナイダーの新プロジェクトを例にすると、12.95ドルの出資コースに申し込むと、新曲をダウンロードする権利が与えられ、19.95ドルの出資では、インターネット限定のCDが配布される。

これが、従来レコード会社の「CDを売る」ビジネスに該当する部分だが、上級コースとして、350ドル(約3万円)の出資者は、マリア自身がアレンジした楽譜データと解説のテキスト、レコーディング中の様子を記録したビデオクリップをダウンロードできる権利が与えられる。通常のアーティストは、自身の楽譜を公開することは無いため、これは楽器演奏を趣味にしている人にとって、魅力的な特典といえる。

そして、さらに詳しい楽曲のデータやレコーディングの内容を知りたい人に向けては、「1,000ドル」「2,500ドル」「5,000ドル」の出資コースが設けられており、「10,000ドル」の最高額コースでは、出資者がプライベートコンサートに特別ゲストとして招待されて、演奏後の夕食までを共にしたり、マリア個人の電話番号を交換することもできる。

《マリア・シュナイダーへの出資コース》

 



ArtistShareでプロジェクトを立ち上げている他のアーティストをみても、本人と交流できることを特典とした上位の出資コースは、熱心なファンにより、早々に「SOLD OUT」となっているケースが多い。

熱心なファンがお気に入りのアーティストに求めるのは、生の演奏を間近で聴けたり、直接の楽器レッスンが受けられたりと、より身近なスタイルへと変化してきており、彼らを「パトロン(=出資者)」としたクラウドファンディングは、アーティストの新たなビジネスモデルとして注目されている。

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この記事の核となる項目
 ●米JOBS法で活気付くクラウド金融ビジネス
 ●JOBS法によるクラウドファンディングの主な骨子
 ●合法的に普及するクラウドファンディングの動向
 ●ジャズ界のアーティストを支えるパトロンプラットフォーム
 ●出資目的別にみたクラウドファンディングの分類
 ●金融界が狙う投資型クラウドファンディングの仕組み
 ●クラウドファンディング乱立の理由と対策
 ●ステップ別に考える起業資金の調達方法とベンチャー事業の実現
 ●開業資金を抑えたローコスト起業を実現させるクラウドサービス
 ●モノ作り立国の頭脳となる研究者の育成と資金調達ルート
 ●米寄付社会を後押しするオンライン寄付機能のビジネスモデル
 ●金融機関には頼れない時代の新規開業スタイルと資金調達方法


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JNEWS LETTER 2013.1.16
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