JNEWS会員配信日 2012/4/10
事例:Zilok
乗り物のように、利用者の「安全」が最重視される分野のシェアサービスは、保険や整備コストの負担がどうしても重くなる。ビジネスとしてシェアサービスを手掛けるのであれば、できるだけ安全面のリスクが少ない分野のほうが、事業を軌道に乗せやすいし、事前にトラブルを回避できる仕組みを作ることが望ましい。
そこで「Zilok(ジロック)」のような、個人間で様々なモノをシェアリングできるプラットフォームビジネスが伸びている。このサイトには、日曜大工の道具、一眼レフカメラやビデオ、バーベキュー機材などのレジャー用品、パーティー用のドレスや礼服など、毎日は使わないが、特別な時に利用したいモノが、“レンタル品”として多数出品されており、希望者は1日単位から借りることができる。
「Zilok」は、ネットオークションのシェアリング版といえる仕組みを実現したもので、貸し手と借り手のマッチングと、レンタル料金の決済代行をするのが主な役割だ。しかし、貸し借りの取引が成立した後のトラブル(レンタル品が返却されない、レンタル中に壊れた等)には関わらないという方針で、シェアリングのプラットフォームビジネスに徹している。
たとえば、日曜大工の電動工具を貸したいオーナーは、自分が工具を使わない時期(レンタル可能な期間)の指定と、レンタル料を1日単位、週末の2日間、1週間単位、1ヶ月単位で設定して、借り手からの予約を待つことができる。レンタル取引が成立すれば、Zilok はオーナー側が受け取るレンタル料の中から、以下の料率で手数料を徴収する方式。
《Zilokのレンタル仲介手数料》
Zilokは、レンタル中に起きたトラブルに対して直接関与しない代わりに、トラブルができるだけ起こらないための機能や対策を用意している。レンタル品が返却されないリスクに対しては、借り手のクレジットカード枠の中から保証金を事前に預かっておく「デポジット制」を導入しているため、万が一、返却されない時にもオーナーは損害を回避することができる。
また、レンタル中の故障や事故などに備えた「契約書」のひな形も各種が用意されている。Zilok が契約の仲介や代行をするわけではないが、高額な道具や機材を貸し出すオーナーは、ひな形をベースに、貸借の条件をカスタマイズした契約内容を自作して、借り手に同意してもらうことが推奨されている。
同サイト内では、同じ仕組みにより「自動車のシェアリング」も行われているが、あくまで個人間の貸し借りであるため、事故やトラブルについても自己責任で解決することが前提。それを十分に理解した上であれば、オーナーが乗らない期間のマイカーを収益化するプラットフォームとして活用できる。
《シェアリング・プラットフォームの仕組み》
(海外ネットビジネス事例一覧へ)
●安全コストが重荷になる米カーシェアリング業界
●米政府によるカーシェアリングへの規制動向
●個人間カーシェアリングのリスクと保険会社の対応
●自転車シェアリング事業の採算性と問題点
●自治体との提携による自転車シェアリング事業
●リスクを軽減した個人間シェアリングの仲介プラットフォーム
●知識やスキルをシェアリングするプラットフォーム
●保育園の代わりとなる育児のシェアリングサービス
●ベビーシッター・エクスチェンジの仕組みについて
●近隣コミュニティによる育児や家事のシェアリングモデル
●ローコスト旅行を支援する宿泊施設の新業態と新たな大家業
●ルイ・ヴィトンは買わずに借りる時代の新ステイタスと資産形成
●安い家賃で優雅に暮らすルームシェア・ゲストハウスの台頭
●脱マイカー社会で変わる消費者の購買行動と商圏法則
JNEWS LETTER 2012.4.10
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●DVDレンタルから派生したマイカーを持たないライフスタイル
●理想のエコ社会を実現する個人間カーシェアリングの仲介事業
●小売業→レンタル→シェアリングサービスへのビジネス転換
●スキルシェアリングによる労働市場のセカンダリーマーケット
●無形サービスの労力をシェアリングするタイムバンクの仕組み
●非稼働時間をモニタリングした建設重機のシェアリング
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