written in 2010/8/9
事例:Etsy
ネットで話題になる商材といえば、最新のIT機器が主流だが、それとは対極にある分野として、ハンドメイド商品の人気が欧米で上昇している。日本でいえば“手芸品”の分野で、個人の作者が手作りで製作した衣類、カバン、アクセサリーなどを購入する人達が増えているのだ。
「Etsy(エッツィー)」は、そうしたハンドメイド商品を専門に出品販売できるサイトだが、2005年の創業から飛躍的に業績を伸ばしており、2009年の売上高は1億8千万ドル、2010年も6月までの上半期で1億3千万ドルを超えている。
同サイトには520万人以上の会員登録があり、600万点を超す商品が出品されている。商品のカテゴリーは、アート、ジュエリー、洋服、玩具、ペット用品、家具など多岐に亘っているが、ハンドメイドで制作されていることが出品の条件になっている。そのため、商品のすべてが“一品モノ”ということで、世界で一つの掘り出し物を探せる楽しみがあることから、特に女性から人気となっている。
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販売の方法は、ebayのように個人または業者が、自由に商材を出品登録することができるが、オークションとは違って、出品者が売値を決める定価方式で、Etsyでは1点あたり0.2ドルの出品料と、注文が成立した際の手数料(3.5%)を収入源にしている。
同サイトは米国内だけでなく、全世界のハンドメイド愛好者から利用されており、日本からでも国際宅配便による商品発送をすれば、手芸作家や職人が自分の作品を、世界に向けて販売することができる。実際に、米国ではEtsyを上手に使いこなすことにより、手芸品で起業する人が多数登場している。
《Etsyによる出品販売の仕組み》
ITとハンドメイドは意外な取り合わせと思いがちだが、Etsyが500万人を超す会員ユーザーから支持されているのは、ハンドメイド品はデザインが多彩・個性的で品質も高く、量産型のブランド製品よりも安価な価格設定であること。しかも工場で生産するような環境汚染が無く、エコフレンドリーである点などが、理由として挙げられる。
創業者の Rob Kalin(ロブ・カーリン)氏は、もともと大工の職歴を持ち、大量生産時代のアンチテーゼとして同事業を立ち上げた。ハンドメイド品の販売は、作者と消費者による、個人間取引となるため、企業名やブランド名に頼らなくても、人気の商品や信頼できる作者(売り手)を楽しみながら探せる仕組みが考案されている。
(海外ネットビジネス事例一覧へ )
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JNEWS LETTER 2010.8.9
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