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中国eコマース市場の取引慣習と
日本業者向け代行ビジネス
written in 2010/3/12
事例:Alipay

Alipay  日本よりもカード社会が進んでいることに加えて、国土が広い中国では、ネットによる通販事業(eコマース)も急成長しており、中国のネットリサーチ会社「iResearch」の調査によれば、2009年のオンラインショッピング市場は2,484億元(約3兆3,000億円)、さらに2013年には1兆元(約13兆円)を上回ることが予測されている。日本のeコマースが2008年の時点で約6兆円の市場規模(経済産業省)と算定されているが、近い将来には中国のeコマース市場に追い抜かれることは間違いなさそうである。

《中国オンラインショッピング市場の成長予測》

  中国オンラインショッピング市場の成長予測

中国のeコマースが欧米や日本と大きく異なるのは、やはり決済の方法で、いまや世界標準ともいえる、クレジットカードによるオンライン決済はほとんど普及していない。信用払いよりも、即時決済を望む傾向が強いのは、銀聯カードが普及したリアル店舗と同じである。

中国で最も普及しているオンライン決済の手段が「支付宝(Alipay:アリペイ)」というもので、2009年の時点で中国ネット人口の6割に相当する2億人が利用している。アリペイの仕組みは、ネットオークション取引にみられるエスクローサービスに似たもので、商品の注文者がショッピングサイトで決済手続きをすると、アリペイが売り手(販売店)に対して商品の発送を依頼する。買い手側に商品が到着した後にクレームが無ければ、アリペイから販売店に代金が支払われる。

《アリペイ決済の仕組み》

  アリペイ決済の仕組み

もともと中国では、信用取引の習慣が薄いことから、商品の売り手、買い手、決済業者の三者がいずれも安全に取引できる仕組みとして、アリペイが開発されて、eコマース市場を急成長させる起爆剤となった。現在ではアリペイによってオンライン決済される金額は、中国内で一日7億元(約90億円)と言われている。

アリペイはオンライン決済機能として優れていることから、中国内だけの利用に留まらず、国際的な決済システムとても普及させていこうとする動きもある。これは中国内の取引に限らず、海外からも中国に向けたeコマース事業が展開できることを意味しており、その商機は莫大なものになることを示唆している。
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この記事の核となる項目
 ●日本を追い越す中国カード社会の特徴
 ●信用払いを嫌う中国eコマースの決済システム
 ●中国ショッピングモールへの出品代行ビジネス
 ●淘宝網(タオパオ)で人気商品を売る日本業者の台頭
 ●中国向けネットビジネスで成功するための視点
 ●アリババ・プラットフォームが描く中国地図
 ●世界標準のプラットフォームビジネスとローカライズ市場
 ●ネット時代の円高還元スタイル〜米国発買い物代ビジネス
 ●クレジットカードのポイント特典は誰が払っているのか?
 ●ネットによって国境を楽々と越えるサービス貿易の動向と影響
 ●交換することで目減りする「お金」の価値と両替ビジネス


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