written in 2007/2/1
事例:Disclic 他
人気が高い商品は発売されるやいなや高値でオークションに登場するといったことが近頃では当たり前になったが、そこには「転売屋」の横行がある。自分が使うためではなく、いちはやく購入して封を切らないままネットオークションに出品、定価に高い上乗せをして売ることで利ザヤを稼ごうとする“転売屋”がプロ、アマを問わず急増しているのだ。 Wiiの場合でも、転売を目的で購入したと公言する主婦がニュースで取り上げられているほど。「ふつうにオークションでモノを売る感覚で、皆もやっているから」というのが言い分のようである。
さらに、発売待ちの行列にホームレスの人や不労外国人などを集めて並ばせて購入させるなど、転売目的の購入を組織的に行っている実態もスクープされている。そこではブローカーが、まず仕切り役の人間(これもホームレスだ)にレジ待ち行列に並ぶ人間を集めることを依頼することで場所を確保し、レジの順番が来る直前に各自に購入代金を渡すという手はずになっている。この手口で、一晩に数百台のWiiを横流したブローカーもいる。 こうした大量購入の転売屋は、ネットオークションなどにちまちまと出品するのではなく、もっと大量かつ高額で売りさばける転売ルートを予め確保している。その先はやはり海外で、韓国や中国など、まだ正式には Wiiが発売されていない地域だ。
こうした組織的に動く転売屋が素人と違っているのは、高い利益が得られる転売先のルートを独自に押さえているという点にある。もちろん広く公開できるルートではないが、転売で稼ぎたければ、他人と同じルート(ネットオークションなど)へは流すなということを示唆している。これは Wiiに限らず、様々な品薄商材に対して言えることだ。
こうした事情を知ると「転売」がどうにもうさんくさいものに思えてしまうが、実は業者間ではよく行われている取引形態の一つで、転売することイコール裏稼業というわけでは決してない。ディスカウント店で安く衣料が買えたりするのも、業者間の転売が行われているおかげだ。また、街道沿いで見かける安い看板のガソリンスタンドの経営も、実は業者間の転売あってこそ維持されているものだ。
転売が表舞台に立つことはないにせよ、あらゆる業界で転売を担うブローカービジネスが成り立つ可能性は高く、転売ブローカーを個人で営んでいる場合も少なくない。転売は二次流通ビジネスの一形態であり、本質的には中古品売買と変わらない。そして意外にも転売市場が成り立ってる市場ほど、商材の価値は需給のバランスに応じて適正に評価されて、消費者がメーカーの言いなりで高いモノを買わされるということが無くなる。その意味で、古い慣習に守られた業界の中で転売可能な二次流通市場を築こうとすることは、ベンチャー起業家の着眼点として正しいものである。そのビジネスの勘所と、転売市場の可能性を探ってみることにしたい。
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JNEWS LETTER 2007.2.1
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