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  ネットで衣料品を売ることは、試着ができないため難しいと言われていたが、身体データを電子的に計測する技術の進化により、オーダーメイド服のオンライン受注が普及しはじめている。これにより、アパレル店の常連客はスーツを新調する度に、店に出向く必要がなくなる。
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身体データの管理で変わる
アパレル店の商売方法と収益構造
written in 2007/5/2
事例:Bodymetrics

Bodymetrics  ジーンズを買いに店に行った際に、店員に寸法を測ってもらうことはごくあたりまえの感覚。Yシャツを買おうと思って、あらかじめ自分の首周りがどれくらいあるかを測ってから出かけることはあまりないだろう。自分の身長は知っていても、腕の長さや股下、胸囲など、身体の各サイズをきちんと知る機会は、せいぜいオーダメイドでスーツを作ってもらう時ぐらいだ。その時ですら店任せで、測ってもらったサイズをしっかりと覚えておこうとは思わないものである。この時に店は、顧客の個人情報として身体データ(各部位のサイズ)を収集している。紳士服店にとって、じつはこれがもっとも重要な“資産”となる。この場合の「資産=身体データ」というのは、客に他店への浮気をさせない人質のようなものだ。

我々が普段身に付けているものには、洋服の他にも、メガネ、靴、時計、指輪などがある。いずれも自分の体にフィットしていないと気持ちが悪いもので、店に行けば自分のサイズに合うものを選んで買うはずである。逆に、どんなにデザインが気に入っていてもサイズが合わなければ買うことができない。そのため自分のサイズを把握(保管)してくれている店というのは、常連として利用しやすいのだ。

紳士服店でオーダースーツを購入すれば、熟練した店員が丁寧な採寸をしてくれた上で、自分の体にジャストフィットするスーツを仕立ててくれる。その着心地に満足すれば、2着目、3着目のスーツもまた同じ店で購入しようと思うだろう。しかしここに一つの商売トリックが隠されている。採寸をしてから数週間後に完成したスーツを受け取りに行った際に、採寸してもらった胸囲や袖丈、肩幅、股下など、自分の身体データを受け取った記憶はあるだろうか?おそらくは会員カードのようなものを渡されて、次回の注文時にそのカードを差し出せば、店側の台帳で前回の採寸データを利用できる仕組みになっていて、採寸データをそのまま客に渡している店というのは少ない。

本来なら店員が採寸した身体データは個人情報にあたるため、店が勝手に保管することはできないはずなのだが、そのあたりは店と客との信頼関係ということで曖昧になっている。ではもしも採寸データをすべて客に渡してしまえばどうなるかといえば、2着目からはそのデータを活用して、別の店(ネット上の激安店など)でオーダーしようとする客が急増してしまうだろう。つまり衣類や装身具など、“体に身につける物”を売る業界では、顧客のサイズを採寸してデータをストックすることがビジネスの肝である。そこを掘り下げると、物を売ることよりも、身体を計測すること自体がビジネスとして成り立たないだろうか?その可能性を我々が普段利用している身近な業界から探ってみることにしよう。
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この記事の核となる項目
 ●メガネ業界に潜む検眼サービスの利権構造
 ●度数データの保管が急所となるメガネ販売店の顧客管理
 ●コンタクトレンズの格安通販が広がった理由
 ●使い捨てコンタクトが変えた業界構造
 ●メガネ屋の検眼サービスは違法なのか?
 ●身体データの管理で変わるアパレル店の商売方法と収益構造
 ●オーダーメイド水着の受注を仲介する採寸ビジネス
 ●身体測定することをビジネスとするボディショップ
 ●ローテクな身体計測で実現させるオーダーメイド商売
 ●オンライン上の未開拓有望商品「オーダーメイド靴」の売り方
 ● "規格外(ノンスタンダード)"がネット上に形成する新市場


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