written in 2006/7/28
事例:clipsyndicate
米国の動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」への日本からのアクセスが急増している。ネットレイティングスの調査によれば、今年5月には無料インターネットテレビの「GyaO(ギャオ)」の視聴者数を超えたとのこと。その理由は、テレビとは異なるYouTubeのおもしろさに一度触れてしまえばわかるはずだ。
YouTubeには一日におよそ3万5千本の新着ビデオが投稿され、その視聴件数は1億件/日にもなる。投稿者の中にはプロの映像作家も含まれるが、大半は一般ユーザーからのものである。サイトのメニューは英語だが、検索フォームに探したい映像のキーワードを日本語で入力すれば、該当のコンテンツがずらりと一覧表示される。
昨夜見逃したテレビの人気番組も、YouTube を検索すれば投稿されている可能性が高い。投稿されている各映像にはユーザーがランキング評価をすることができるため、人気が高い作品へのアクセスは加速度的に増えていく。これらの映像は一般ユーザーが自宅のビデオレコーダーで録画した番組を無断で投稿したものが多く含まれているが、テレビ業界でもこの影響力を無視するわけにはいかなくなっている。
■YouTube
これまで映像ビジネスを独占してきたのは、電波放送の利権(免許)を持つテレビ業界であったことは言うまでもないが、映像の発信源はインターネットを経由して多方面的に広がっている。技術的にはテレビ番組をインターネット回線で配信することは既に可能だ。たとえば、ソニーが開発した外出先からでもテレビが視聴できるシステム「ロケーションフリー」を使えば、海外出張先のホテルからでもインターネットを経由して自宅のテレビを見ることができる。総務省でも、2011年にアナログ放送が終了した後に、電波が入りにくい地域向けの対策としてNHKや民放各局の番組をインターネット回線(光ファイバー)で配信する計画を進めている。
電波に頼らずにインターネットからテレビ番組が見られるようになることは、放送と通信の垣根が消滅することを表していて、テレビ局が独占してきた電波利権の価値は著しく低下していくことになるだろう。その時に開花するのは、従来のテレビ局には頼らない新しい映像ビジネスであるが、そこで強い力を主張できるのは、番組を放送(配信)する側ではなく、映像に関する権利を獲得している側の人々である。そこに向けた映像ビジネスの動向を追いかけてみたい。
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JNEWS LETTER 2006.7.28
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