written in 2006/7/6
事例:SmallBizPros 他
一つのビジネスが成長→競争→成熟→衰退というライフサイクルを終結するまでの期間は、以前ならば短くても10年、長ければ20年、30年という時間を維持することができた。そのため会社は一つの新規事業を軌道に乗せれば最低でも10年以上はその分野で喰っていくことができた。企業に対する事業融資の返済期間が5年〜10年に設定されていることが多いのはそのためである。
しかし現代のビジネス環境では、5年ですらビジネスの寿命を維持することは難しくなっている。IT業界の現場では欠かせないサーバーの法定耐用年数は5年間と決められているが、そのサーバーで運用されるネットビジネスの寿命が償却期日まで維持できるかは心許ない。また、飲食店を新規開店するケースでも、最近ではオープンから3年以内に開店資金を回収しなくては、顧客が店に飽きてしまうペースに遅れをとってしまうと言われている。業界分野を問わず、ビジネスのライフサイクルは急速に短命化しているのだ。
「ビジネスのノウハウ=知識」と捉えれば、知識が生み出されてから衰退するまでの期間は、いまや「日刊新聞」並みの早いペースで様変わりしていく。新製品の企画が会議にかけられ、設計、製造、マーケティングというプロセスを経て市場に出た時にはもう他メーカーからも類似商品が多数登場していて価値はゼロということもある。現代のビジネスで知識をウリにすることは、生鮮食品の販売と同じと考えたほうがよさそうだ。
そうなると、専門知識を売ることを本業としてきたコンサルタントや士業、インストラクター(講師)、研究者のビジネスモデルも変わらざるをえない。教科書に書かれた知識を丸暗記して伝えるだけで“専門家”として通用した時代から、いかにして新しい知識を生み出し、できるだけ早く(陳腐化しないうちに)売るか、という視点に立ったビジネスモデルへの転換が求められている。そんな中で「知識を覚える」のではなく「知識を生み出すこと」ができる人材が新たな知的スペシャリストとしての価値を高めて、「知識開発業」とも呼べる新たな業態が登場しはじめている。
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JNEWS LETTER 2006.7.6
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