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  出版業界に少なからず影響を与え始めているのがウィキペディアの存在。一般のユーザーが共同編集の形で一つの原稿を熟成させていくスタイルは、従来の出版ビジネスに革命を与えようとしている。
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出版業界の商権を脅かす
ウィキペディアの実像と編集スタイル
written in 2006/5/26
事例:Wikipedia

Wikipedia  わからない用語を調べる手段として、辞典や辞書を使うことは昔からの常識である。学生は必ず辞書を購入して擦り切れるまで使うのが正しい勉強の方法とされていた。そんな古くからの習慣によって「辞書」というのは出版業界における隠れたベストセラーになっている。国語辞典、英語辞典、新用語辞典などの中には累計の販売部数が1千万部を超えるものが少なくない。老舗の出版社では、これら定番辞書の売上を安定した収益源とすることで、リスクのある新たな分野の出版物にも挑戦することができる。

ところが出版業界にとって新たな脅威として「ウィキペディア」というネット上のフリー百科事典が台頭してきている。これは一般のユーザーが百科事典の編集者となって、自分が詳しい項目の記事を執筆、それを他のユーザーが加筆、修正しながら各項目の用語解説を充実させていくというものだ。現在では、ウィキペディア日本語版だけでも20万語以上の用語解説が掲載されている。これは広辞苑と同じ規模の辞典に匹敵する。しかも、ウィキペディアはネット媒体の強みを活かして、新しい項目が随時追加されていくため、紙媒体とは比較にならないスピードでその規模を拡大している。

オンライン百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」(日本語版)

ウィキペディアの根幹を成しているシステムが「ウィキ(Wiki)」と言われるもので、不特定多数のユーザーによってネット上のどこからでも一つの文書を自由に編集することができる仕組みだ。このような執筆作業の分業を可能するシステムは「ソーシャルテキストウエア」とも呼ばれ、Web2.0における革命の一つとしても注目されている。その具体的な活用例として、オンライン百科事典が提示されて人気化しているわけだが、ウィキが使える分野はそれだけに限らず、他の出版物やネット上のコンテンツにも大きな影響を与えはじめている。

Web2.0革命が示唆するものとして、これまで特定の専門家でなければできなかった作業を、複数の一般ユーザーが集まり、コラボレーション(協業)することによって成し遂げるというものがある。これは「一人の専門家」と「百人のアマチュア」とではどちらが優秀か?という問いへの挑戦でもある。その裏を返せば、中途半端な専門家の存在はやがて、多数のアマチュア達によって淘汰されてしまうことにつながる。そこで、Web2.0におけるコラボレーション作業の仕組みと、それがビジネスに与える影響、経営者にとって効果的なコラボレーション戦略とは何かについて考えてみたい。
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この記事の核となる項目
 ●編集のコラボレーションで成長するウィキペディアの実像
 ●コラボレーションツールとして注目されるウィキ(Wiki)
 ●ウィキ(Wiki)がネットビジネスに与える影響
 ●ウィキによるホームページ運営の新たなスタイル
 ●オープンソースとして進化するウィキエンジンの動向
 ●テキスト編集機能から発展したウィキの進化形
 ●ウィキを活用したコラボレーションマーケティングの新たな形
 ●共同編集型で成長する観光情報サイトのビジネスモデル
 ●共同で購買ガイドを作成する新たなeコマースの形
 ●企業と消費者の関係を変えるウィキの活用法
 ●個人メディアの力が変える旅行ビジネスの業界地図と集客経路
 ●社内の人間関係形成に着目したソーシャルソフトウエア市場
 ●守りから部分開放への転換で収益化を狙う著作権管理ビジネス


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