written in 2006/4/28
事例:Barter Exchange 他
日常の金銭取引に慣れた現代人にとって「お金(通貨)」は最も信頼できる財産のように思いがちだが、実際には経済情勢によって通貨の価値は変動しやすいため、すべての財産を現金で持つことにはリスクがある。そこで、富裕層になれば、預貯金の他に株式や不動産などに資産を分散して“いざという時”に備えておくものだ。
最近ではデフレからインフレへと経済情勢が変化していることもあり、自分の財産をモノに変えておこうとする動きが見られるが、インフレ経済が進行していく世の中で見直されてくるのが物々交換ビジネスである。物々交換による商取引の歴史は古く、世の中にまだ「お金」が存在しなかった頃には、物と物とを交換することが最も信頼できる商取引とされていた。今でも経済状況が混乱している国では、自国通貨の信用度が低いために、物々交換による取引が主体になっていることもある。
先進国においても国際的な取引においては物々交換が頻繁に行われている。これは「バーター取引」と呼ばれるもので、現金を介さない取引(非現金取引)として原材料の調達や在庫商品のやり取りに使われている。非現金取引といえば、日本では手形取引が古い商慣習として根付いているが、詐欺や偽造の手口が巧妙化している現代において、紙切れ一枚の手形がどこまで安全かは保証できたものではない。そこで企業間の商取引にバーター取引を導入したいというニーズが高まっている。
例えば小売店の場合、自店が抱える不要な在庫を現金に換えようとすれば、在庫の価値を大幅に下げて換金しなくてはならないが、他の小売店が持つ在庫との物々交換であれば、商品本来の価値のままで取引することが可能になる。小売業は次から次へと新しい商品を回転させていくことが商売のため、在庫のバーター取引を実現させることにより、現金への換金による商品価値の目減り分を解消して利益率を好転させることができるのだ。その具体的な仕組みと世界的な動向について掘り下げてみたい。
(海外ネットビジネス事例一覧へ)
●消費者に広がり始める物々交換サービス
●世界のビジネス標準となる企業向けバーター取引
●意外と身近に行なわれている企業間バーター取引の仕組み
●整備工場の経営者がレストランで無料の食事をするバーター取引例
●バーター取引によって改善される企業の利益体質
●バーター取引で改善する自動車整備工場の採算性
●水道配管工事会社が無料でラジオCMするバーター取引例
●バーター取引仲介会社の収益構造とトレードブローカーの存在
●広範囲への応用が効くバーター取引の潜在市場について
●疑似通貨の役割を持ちはじめる割引ポイントの交換ビジネス
●オンラインゲームから生まれたリアルマネートレード市場(RMT)
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JNEWS LETTER 2006.4.28
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